【3】【夏至のお祭り】
❶【世界の夏至祭】
夏至は日本独自の物ではなく、世界各国で一つの基準日として考えられています。
特に、暗くて長い、厳しい寒さの冬が続き、日照時間の短く、夏の短い北欧では、最も太陽が照っている(昼間の)時間が長い夏至の日はとても大切な日で、お祭りをするほど待ち焦がれた、特別に喜ばれる日です。
北欧の冬至の時期ではなんと、朝9時位まで太陽が昇らず、午後3時前には日が落ちてしまうというのだから、この日照時間の少なさは驚きです。
その一方で夏至の時期が近くなると、白夜(びゃくや)と呼ばれるように、夜になっても日本の夕方くらいの状態となるのです。
特に北欧各国では、盛大に「夏至祭」が行われ、日照時間が長い白夜の季節、それは北欧の人達は太陽の光をたっぷり楽しみ、家族、親戚、友人同士、地域の人々がそれぞれ集まり、夏至祭を共に祝います。この夏至の日は街の盛り上がりが凄いようです。
北欧諸国のフィンランド、スウェーデン、ノルウェーなどでは夏至祭りが行われています。いずれも、たき火の上を飛び越えたり、花や葉で冠を作って、健康を祈願したり、また夏至に最も近い土曜日とその前日に、木の葉や花などで飾った高い柱を広場に立て、大勢の人が集まり、それを囲んで、若者達がおいしい料理を食べ、酒を酌み交わし、一晩中踊り明かすというとても華やかで、にぎやかなお祭です。このように、歌って、踊って、食べて、呑んで、恋をしてと、まさに絵に描いたようなお祭りです。
また、夏至は水と火、愛と子孫繁栄、そして太陽と月を祝う日だそうで、昔は今でいうバレンタインデーの役目も担っていたそうです!
①【スウェーデンの夏至祭】…夏の到来を祝う夏至祭。スウェーデンでは夏至は最も大事な日で、6月19日~26日の間の土曜日が夏至祭(移動祝祭日)となります。
一年で日が一番長い夏至。日照時間が短いスウェーデンでは、夏至祭を盛大に行います。夏の訪れを待ちわびていた人々にとって、大切な伝統行事です。
夏至祭の中でも一番のイベントは「マイストング」(夏至柱=「五月の柱(メイポール)」(=男性性器のシンボルとする説もある)という意味の豊穣のシンボル)を立てることです。その後、民族衣装を着た男女が花輪を作るため、に森へ花を摘みに出かけます。
マイストングは、大きなものでは20mを超えるものもあり、野の花々やモミの葉などを美しく飾り付けます。自宅の庭に1~2m程の自家製マイストングを立てる家もあります。これはドイツなどで行われる五月祭の柱(メイポール)が伝わったとされていますが、冬が長い北欧では5月ではなく夏至の時期にマイストングを立てて、お祭を行うようになりました。
マイストングを垂直に立てた後、その周りで民族衣装に身を包んだ人々が、バイオリンやスウェーデンの民族楽器:ニッケルハルパの演奏に合わせて、夜遅くまでみんなで楽しくフォークダンスを踊ったり、歌ったりして楽しみます。(スウェーデン人は歌うのが好き)
【食事】伝統料理の【ニシンの酢漬け(玉ねぎ、にんにく、トマト、マスタードソースなどと共に漬け込んである)】やディルと一緒にゆでたジャガイモ、サーモン、スペアリブ、スモーガスボード、この夏初めてとれたイチゴなどを食べながら、ビールやヌベ(スウェーデン版ウォッカ)、シュナプス(ジャガイモから作られる蒸留酒)を飲んで、盛り上がります。
そして、夏至祭には、古くからの言い伝えがあります。夏至祭の夜、塩辛いものを食べて、「デイジーやレンゲソウなど、野で摘んだ7種の花束を枕に敷いて寝ると、夢の中で未来の花婿(花嫁)に会える」と言われています。7種の花は決まったものではなく、異なる種類であれば良いそうです。但し守らなければいけないのは花を摘んでいる間、一言も口を聞かないことです。こうしてみんなに内緒でベッドに入ります。昔の人々は、夏至の夜には、不思議なパワーがあると信じていたそうです。
また、一番良い季節を迎え、子供達は6月から楽しい夏休みに入り、多くの人々がこの夏至祭に合わせて休暇を取り、郊外のサマーハウスなどでゆったりと夏を過ごします。
夏至祭の日が近づくと、1ヶ月以上も前からスウェーデンでは夏至祭の天気がニュースになります。雨が降ってもこの行事は延期はされず、レインコートや傘を差してでもお祭りは決行されます。
②【フィンランド】でも、ユハンヌスと呼ばれる大切な日で、移動祝祭日として盛大に祝います。夏至祭は結婚式の多い日でもあります。
スウェーデン同様に飾り立て、湖のそばで焚火をたき、一晩中野外で踊り明かします。
夏至を過ぎると再び日が短くなり、悪霊が出没すると信じられ、昔からこのように神秘的なものと結びつけて考えられたり、財産や子孫の繁栄や結婚等を占う行事などが行われています。
「ハーブや薬草を、露が下りる前の、活力のある時間帯に摘みます。」また、「夏至の露には病気を治す力がある」と考えられていました。
「牛小屋の天井からナナカマドの枝を吊り下げると、牛が悪いものから守られます。」
「夏至の夜、家の屋根の上で、3回場所を変えて座る、または、古いリンゴの木の下に座ると、未来が見えます。」
「夏至の夜、鬼火に目を凝らすと財宝がたまります。鬼火が、財宝のありかを教えてくれるのです。」
若い女性や男性の行事には、結婚や、未来の伴侶を占うものが多く、「女性が7種類または9種類の花を摘んだり、枕の下に置いたりすることで、将来の夫との出会いが約束されます。」
「夏至の夜交差点に立つと、未来の夫と巡り合います。」
「夏至の夜、井戸で鍵が触れ合う音を聞けば、その家の女主人となり、赤ちゃんの泣き声を聞くと、子供が生まれます。」
「井戸または泉を裸でのぞくと、水面に未来の夫の顔が映ります。」
「花輪を作って小川に行き、花輪を流して、そのまま流れて行けば結婚します。もし途中で止まれば、それは死を意味します。」
1年で一番日の長い夏至をお祝いする週末は、都市部を離れ、サマーコテージで、パーティーをしたり、のんびりしながら、友達や家族と過ごすのが一般的です。
夏至祭は暖かい夏が始まる日だという認識もあり、その前日から夏の休暇に入る人も多いのです。6月後半の夏の到来を祝うこの時期、フィンランドの北部では、真夜中でも太陽が沈みません。また、南部でも夜が暗くなるということはなく、国中どこでも白夜になるのです。
かがり火を焚いたり、サウナに入るのが、最も伝統的な夏至祭の過ごし方ですが、最近ではコテージ滞在中に、バーベキューや魚釣り、セーリングなどを楽しむのも、一般的な夏至祭の過ごし方として定着してきました。
【食事】乳製品、ソーセージ、ジャガイモ等を食べます。
③【ノルウェー】ノルウェーの夏至はヨンソク(Jonsok)といい、【6月23日の夜】に全国民が夏至祭りを祝います。
日が1年で最も長く、ノルウェーでは夜になっても昼間のように明るく、ノルウェー最北の北極圏に位置する地方では、真夜中の太陽がみられ、この地域の人々は、暗い闇を切り裂く太陽を見るために一晩中起きています。
キリスト教伝来以前の習慣である【太陽への崇敬】が、【焚火】とともに捧げられます。「焚火は暗闇を引き裂くシンボル」であり、「トロールやハルダースのような妖精は祭りの主役です」。楽隊による行列が行われることもあります。
【食事】「乳製品」、「ホットドッグ」「プルソ(ソーセージ)」などを焚火を囲みながら食べ、子供達が模擬結婚式を挙げて、豊穣を願った後、焚火が焚かれ、踊り明かすようです。
④【デンマーク】ここでも【焚火】は不可欠で、この焚火で魔女の人形を燃やし、魔女の衣装にはかんしゃく玉が入っていて、その爆発音とともに魔女は黒い森のブロクスビェルク山(魔女の住処)へ帰っていくと言われています。
⑤【ラトビア】【6月23日(聖ヨハネの日)】に【夏至祭】が行われます。「この日の深夜に咲くと言われるシダの赤い花を摘んだカップルは幸せな結婚生活が送られる」と言われています。菖蒲もまたつきもので、菖蒲の茎で来客を叩いたり、日本の菖蒲湯のように、浴槽に浮かべたり、枕に入れたりします。焚火がたかれて、火の勢いが弱まると、昨年のリーゴの飾りを入れ、炎がおさまったところで、【焚火越え】が始まます。
⑥【リトアニア】ここの夏至祭でも【焚火】はつきもので、「この火は福を呼ぶ」とされています。新婚夫婦はこの火を家に持ち帰ったり、火を飛び越えることで農作業がはかどる力が備わるとか、恋人同士が手をつないで火を飛び越えると、結婚できるなどと言われています。この火の後の炭や灰を畑にまくと、土地が肥沃になり、作物にいい影響をもたらすとされています。夏至の夜中には、シダが花を咲かせるという言い伝えもあり、人々がそれを求めて森の中を探します。
未婚の女性は、夏至の日は早朝に起きて、朝露には治癒力があるとされ、朝露で顔を洗い、再び眠りにつきます。こうすると、将来の夫に夢で会えると信じられています。この夏至の時期、草木には強い生命力があると考えられていて、女性達は薬草摘みもします。
祭りの会場には、クーポル(Kupol、てっぺんに枝が3本ある木)が植わっていて、結婚を願う女性達は、この木に背を向けて立ってから、花輪を投げて婚期を占います。他にも花輪は頭に被ったり、ドアや門に飾られたりします。夜中になると、花輪にろうそくをつけて流し、男女の花輪が一緒に流れると、2人はその年に結婚するといわれています。
⑦【東欧ポーランド】の夏至は、スラブ民族の祝日「イワン・クパラの日」に当たります。「クパラ」は「キューピッド」と同じ語源を持つ言葉。観光局によれば、「この夜は人々が恋に落ちる」という言い伝えがあり、かつては若い未婚女性が川に浮かべた花輪を、対岸に陣取った未婚男性がつかまえる行事が行われていました。
手をつないだカップルがかがり火の間をくぐり抜けるイベントもありました。言い伝えによれば、ずっと手を離さなかったカップルは永遠に愛が続くといわれています。
⑧【ギリシャ北部】では、「未婚女性が自分の持ち物を容器に入れて、イチジクの木の下に置いておくと、夏至の魔法がかかって将来の夫の夢を見る」という伝承があります。
翌日は村の女性達が集まって順番に容器の中の持ち物を取り出し、予言話に花を咲かせます。但し現代では、女性達が下品な冗談をかわす口実になっているようです。
その後、男性も参加して、交替でたき火を飛び越す行事があり、3回うまく飛び越せれば願いが叶うと言われ、この行事でカップルが誕生することもあるといいます。
ギリシャでは、多神教の夏至の風習がキリスト教に取り込まれて、「聖ヨハネの日」と名前は変わりましたが、北部ではまだ多くの村で、昔ながらの祭事が受け継がれています。
⑨毎年数千人が集まる世界最大級の夏至祭りといえば、英国の【ストーン・ヘンジ】です。ここの【夏至祭り】は、ケルトの【ドルイド教】に由来し、太陽と地球とがそれぞれ、男性神、女性神を象徴し、その男女の出会いを祝う意味があると言われています。
通常は柵の外からしか眺めることができないストーンヘンジですが、夏至と冬至、そして春分と秋分の日の朝には、柵内に入ることが許され、石に触れることも可能になります。ストーンヘンジを宗教的に神聖な場所として崇めるケルト民族の末裔達にとって、年に4度の節目に執り行われる祭事は、今も重要な意味を持ちます。
※【ドルイド教とは】…ガリア・ブリタニアに定着した【古代ケルト人の宗教】のことで、【ドルイド】と呼ばれる神官を中心に、占いや天文の知識、聖樹崇拝を重視し、「物質と霊魂は永遠であり、宇宙の実体は水と火が交互に支配する現象の、絶え間ない変動の下でも普遍であり、人間の魂は転生にゆだねられている」という「霊魂不滅、輪廻の教義」を説かれました。
また、ドルイドはよく「呪術師」と呼ばれますが、彼らの仕事は単に宗教的指導者にとどまらず、多岐に渡っていて、自然学者であり、天文学者であり、魔術師であり、医者でもあり、医学は魔法に基づいたものであったようです。また、政治的な指導をしたり、公私を問わず、争い事を調停したりと、ケルト社会における様々な局面で重要な役割を果たしていたとされています。
⑩他のヨーロッパの国でも、夏至の行事は広く行われています。
イギリスでは夏至祭といっても正確な夏至の日でなく、その【3日後の聖ヨハネの誕生日】に行われています。
国々によって行事には異同がありますが、共通していることは【火祭】が行われることです。【夏至の祝い火】の周りを人々は踊り歩き、火を跳び越えたりし、酒を飲んで大騒ぎするのです。火の多くは、小高い所で焚くので、「風上から吹き付ける煙が畑の作物の上を吹くと、豊作になる」と信じられています。
・フランスのプロバンス地方では子供達が火焚きの薪(たきぎ)を集めて歩くというのは、日本の【小正月のどんど焼き】とよく似ています。
・ドイツのプロシア地方では「夏至の祝い火」は「落雷除け、魔法除け、牛疫除け」と信じられています。
・ハンガリーでは夏至の頃はヘビが跳梁(ちょうりょう)しだすが、火祭は蛇を駆逐して、作物の収穫を守ってくれると信じられています。
「夏至の火祭は、これを過ぎると日がだんだんと短くなるので、これを防ぐために、火を焚いて、太陽の活力の衰えるのを防止することにあった」と言われています。
★また、これらの北半球では、歴史的にも夏至は収穫を迎える夏の始まりを告げる日とされ、植物や人類にとっても、自然に「繁殖」「収穫」に結びつけて考えられたようです。
それで、北半球では「生涯の伴侶に出会いやすい日」「性欲が一年の中で一番強くなる日」「性欲をかき立てる日」「恋の日」とも言われ、「性欲が高まって妊娠しやすい日」とされています。
これは、「日中の時間が長くなるので、ホルモンバランスと関係し、性欲が強くなる」のではないかと言われています。
夏至祭の「メイポール」と呼ばれる柱は、「男性性器のシンボル」とする説もあり、男性器を模した柱を囲んでダンス・・・なんともセクシャルなイメージです。
夏至についての著書もあるスウェーデンの民俗学者は、同国では、夏至を祝う「ミッドサマー」の祝日から9ヵ月後に生まれる子供が多いと言っています。つまりは、夏至祭の日に男女間で愛情と性欲が最高潮に高まった末にできた、いわば「夏至ベイビー」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
❷【日本の夏至祭】
上記のように、ヨーロッパでは一大イベントとして催されますが、日本では、元々農耕民族で田植えの繁忙期であったため、祭や行事は盛んではなく、また日本では、この頃はちょうど梅雨の時期でもあり、昼間の時間が一番長い日といっても、曇り空や雨模様である場合も多いため、それが実感しにくく、どちらかと言えば、夏至の日はいつの間にか終わっていたと感じる人も多いと思います。
①夏至は太陽の動きでは大きな節目ですが、日本における数少ない夏至のお祭りの一つで、最も有名なのが、三重県三重県伊勢市二見町の【二見興玉(ふたみおきたま)神社】の『夏至祭』です。
【二見興玉神社】では、1年で最も太陽のパワーが高まる夏至の日、夜明け前の午前3時30分から夏至祭(神事)が斎行されて、海に入って、日の出の時刻の午前4時40分頃に合わせて、神聖な夏至の日の出を浴びながら、夫婦(めおと)岩の前で、心身を清め、罪穢れを祓うべく、【禊】をする『夏至祭』が行われます。
これは、夫婦円満・子孫繁栄につながる行事です。
二見浦(ふたみがうら)の夫婦岩では、夏至の頃にはこの二つの岩の間から日が昇り(江戸時代の浮世絵の題材)、冬至の頃には月が昇ります。
天候が良ければ、富士山の背から差し昇る朝日を拝することができ、その感動は筆舌に尽くし難いものがあります。(※夏至の前後1ヵ月だけ、夫婦岩の間から朝日が昇ります。)
伊勢二見夫婦岩 富士山背後からの日の出 2015年
https://www.youtube.com/watch?v=BEXoxj3bDYo
夫婦岩はしめ縄がされているのですが、岩の向こうの二見ヶ浦の海中に沈んでいる霊石:「興玉神石(おきたましんせき:猿田彦神)」と「日の大神(=天照大神)」を拝むための「鳥居」のように見立てられていて、浜からこの夫婦岩の間を拝むと、太陽(「日の大神」=天照大神)と海中の興玉神石を礼拝することになり、信仰深く崇められてきています。(※日本の神道も太陽(=天照大神)を礼拝する宗教です。)
この神社は伊勢神宮の近くにありますが、古くから二見浦一帯は、「清渚(きよなぎさ)の浜」「禊浜」と言われ、日本の総氏神で太陽神「天照大神」を祀った伊勢参宮を控えた人々が海の水(汐)を浴びて、心身を清め、罪穢れを祓うべく、禊祓(みそぎはらい)をした禊浜(みそぎはま)として尊ばれてきました。
二見興玉神社夏至祭…入水前の鳥船行事
https://www.youtube.com/watch?v=qsvkRtka-D4
https://www.youtube.com/watch?v=WLfHcH78DWE
夏至祭「伊勢志摩の彩時記」
https://www.youtube.com/watch?v=D-u60e_sjZg
https://www.youtube.com/watch?v=k-h31-APoLE
②【100万人のキャンドルナイト】…『電気を消して、スローな夜を』という節電やスローライフを呼びかけるもので、日本各地で行われています。
文化人類学者であり、環境活動家:辻真一さんの呼びかけに賛同した多くの人々によって、2003年6月22日(夏至)に第1回が開催され、その後毎年夏至と冬至に開催されているイベントで、20時~22時まで電気を消し、ろうそくの明かりだけでゆったりと過ごすというもので、環境に対する取り組みの一つです。
テレビやラジオも消し、ろうそくの灯りで食事をしたり、静かに語りあったり、いろいろなことを考えたり、普段とは違う時間が楽しめます。
年を重ねるごとに日本全国に広く大きく成長してきています。6月21日(水)の20時~22時の2時間、電気を消すだけで参加できます。
③日本でのヨーロッパの夏至祭
北欧に行けない方でも、下記等で、夏至祭を味わえますので、参加してみるのもいいかもしれません。
⑴「スウェーデンの夏至祭を忠実に再現したイベント」…スウェーデンヒルズのある町:北海道石狩郡当別町(スウェーデン・レクサンド市と姉妹都市)
毎年、数千人の来場者があり、リースの行進、【マイストング】の立上げ、フォークダンスなどが楽しめるほか、グリーンコンサート、ピエロのパフォーマンスショーなどの催し、当別産の農産物や「北欧プレート」などのオリジナルメニューが堪能できる楽しいお祭りです。
(*マイストングとは…「五月の柱」という意味をもち、豊穣のシンボルとされています。)
⑵「フィンランドの夏祭りinこうみ」…フィンランドと深い交流を持つ長野県南佐久郡小海町
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
❸【日本の行事】
①【夏越しの祓え(なごしのはらえ)】…6月30日
6月の晦(みそか)には、日本でも【夏越しの祓え】が各地の多くの神社で催行されています。
大祓は、民間では、日々の暮らしの中で知らず知らずのうちに犯したであろう毎年の犯した罪や過ち、心身の穢れを祓い清め(除き去り)、無病息災を祈りための【除災行事】として定着しました。
6月の晦日のものを「夏越の祓」、「名越の祓」または「夏祓」「夏越神事」「六月祓」などとも呼ばれ、12月の晦日のものを「年越の祓」と呼んでいます。
六月「夏越の祓(なごしのはらえ)」の日は「一年の折り返し」に当たり、夏越の祓は半年間の罪や穢れを祓い、それより先の半年の無病息災を願う神道の行事です。
寛弘三年(1006)頃に成立の「拾遺和歌集」巻五・賀に「題しらず」「よみ人知らず」として、『水無月(みなづき)の 夏越(なごし)の祓(はらえ)する人は 千歳(ちとせ)の命のぶというふなり』という歌にも見えます。その意は「六月の夏越の祓えをする人は、寿命が千歳も延びるということだ」となり、「夏越祓」は、暑く苦しい夏を無事に越えるために、半年間の穢れを祓い、7月からの残りの半年を無病息災に過ごせるよう祈り、さらに、長寿を祈る行事です。
夏に挙行される意味として、衣服を毎日洗濯する習慣や自由に使える水が少なかった時代、半年に一度、雑菌の繁殖し易い夏を前に新しい物に替える事で、残りの半年を疫病を予防して健康に過ごすようにする意味があったのではと考えられています。
またこの時期は、多くの地域で梅雨の時期にあたり、祭礼が終わると、梅雨明けから猛暑と旱(ひでり)を迎えることになるが、この過酷な時期を乗り越えるための戒めでもありました。
⑴【歴史】…応仁の乱で宮中行事として廃絶した以降は、神仏習合の影響で、民間でも行われることはほとんどなくなりましたが、元禄4年(1691年)に再興されたものの、内侍所や一部の神社に限り、「夏越神事」「六月祓」と呼ばれて形式的な神事のみが伝わるだけで、わずかしか執り行われていませんでした。
1871年(明治4年)の太政官布告では、「夏越神事」「六月祓」の呼称を禁止をして、「大祓の復活」が宣ぜられ、これにより神仏分離が行われた全国の神社でも毎年の大祓が行われるようになりました。戦後になると、「夏越神事」「六月祓」の呼称も一部では復活し、現在に至っています。
⑵【茅の輪くぐり】…夏越の祓では多くの神社で「茅の輪潜(くぐ)り」が行われます。
【由来】…これは、『釈日本紀』逸文の『備後国風土記』にもある【蘇民将来(そみんしょうらい)】の「茅の輪」を疫病除けのしるしとした伝承に由来するもので、「武塔神の指示により、茅の輪を腰につけたところ、災厄から免れ、武塔神は自らを【速須佐雄】と名乗り、去っていった」と書かれている。多くの神社で祭神としているスサノオと習合している例が多数見られます。
・参道の鳥居や笹の葉を建てて、注連縄を張った結界内に青々とした茅や藁で編んだ直径数mほどの茅の輪を参道の中程に建て、輪の両側には一対で竹が結わえられます。北欧では柏や白樺でしたが、日本では茅と竹が使われます。いずれもイネ科なのはお米と同じ仲間だからだと思います。
・ここを宮司さんをはじめ、神職の皆さんが笙(しょう)や篳篥(ひちりき)などを奏でながら、先導し、氏子は行列を作って、正面から最初に左回り、次に右回りと「8字を描いて、計3回くぐる」ことで、半年間に溜まった病、罪や穢れを祓い、残りの半年の無病息災(無事に過ごせること)を祈るというものです。
・この時、「参道」は「産道」となり、「茅の輪」は「母胎からの出口」となります。参列者はこうして「生命の更新をしている」のです。
・また、「茅の輪くぐり」の際には、上記の「水無月の夏越の祓する人は千歳の命のぶというなり」と唱えながら、くぐる所もあるようです。
・古くは腰に着けたり首にかけていた小さなものでしたが、時代を経て大きくなり、鳥居などに取り付けるものとなったと言われています。
・夏越しの祓えは晦日(みそか)つまり月が隠れる夜(つごもり)に行われ、7日後の上弦の月の日が「七夕」また7日後の満月が「お盆」にあたります。お盆には櫓を組んで祖霊の魂とともに盆踊りをします。
・茅の輪の"茅"を引き抜き持ち帰って、お守りとする俗信がありますが、本来は茅の輪をくぐった人たちの罪や穢れ・災厄が茅に遷されており、茅を持ち帰ることは他人の災厄を自宅に持ち帰ることになるので、「茅の輪のカヤを抜いて持ち帰るのは避けるべきである」と戒めています。
茅の輪に独特の形式を施している所があり、ⅰ奈良県の大神神社では茅の輪は榊・杉・松をかかげた3連になっており、周り方も他の神社とは異なり、杉の輪 →松の輪→杉の輪→榊の輪 の順にくぐります。
ⅱ出雲大社の茅の輪は「〇形」ではなく、「U形」をしていて、これを神職が両手で持ち、参詣者は、縄とびをするように飛び越えます。茅を跨(また)ぐと同時に両肩にかついだ茅を落とします。
⑶【人形代(ひとかたしろ)】…神社では、陰陽道で用いられた呪詛を起源とする、「撫でもの」である【人形代】に息を吹きかけ、また、体の調子の悪い所を撫でて、穢れを遷した後に川や海に流す、ということが行われています。この「流す」行為は、後に願掛と結びつき、同時期に行われる七夕祭と結びついて短冊を流すことがあります。
⑷【夏越の祓の風習】
6月の大祓に併せ、独自の風習が備わる所があります。
ⅰ【京都】…夏越祓に「水無月」という和菓子を食べる習慣があり、水無月は白のういろう生地に小豆を乗せ、三角形に包丁された菓子です。水無月の上部にある小豆は悪霊ばらいの意味があり、三角の形は暑気を払う氷を表していると云われています。
ⅱ2015年になってから、公益社団法人「米穀安定供給確保支援機構」が提唱した「夏越ごはん」という行事食を広める動きが出て、夏野菜の丸いかき揚げを雑穀米にのせ、おろしだれをかけた丼飯です。
【夏越ごはんのいわれ】「夏越の祓」の茅の輪の由来になった、蘇民将来(そみんしょうらい)が素盞嗚尊(すさのおのみこと)を「粟飯」でもてなしたという伝承にならった「粟」、邪気を祓う「豆」などが入った「雑穀ごはんや五穀ごはん、小豆ごはん」に、「茅の輪」をイメージした「緑」や、邪気を祓う「赤」の旬の夏野菜を使った【丸いかき揚げ】をのせ、「百邪を防ぐ」といわれる「旬のしょうが」を効かせた「おろしだれ」をかけたごはんです。
「茅の輪」をイメージした「緑」の夏野菜…ゴーヤ、インゲン、枝豆、オクラ
邪気を祓う「赤」…の夏野菜パプリカ、人参、エビ
【夏越ごはん】を食べ、無病息災を祈り、1年の後半を新たな気持ちでスタートしましょう!
ⅲ高知県下では、夏越祓のことを「輪抜け様」と呼んでいます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
②祇園祭(ぎおんまつり)は、京都市東山区の【八坂神社(祇園社)】の祭礼で、明治までは「祇園御霊会(ごりょうえ)」と呼ばれていました。
疫病の流行により、朝廷は、【863年(貞観5年)】、神泉苑で疫神や死者の怨霊などを鎮め、なだめるために、【牛頭天王】を祀り、初の【御霊会】」を行い、無病息災を祈念しました。(疫病も恨みを現世に残したまま亡くなった人々の怨霊の祟りであると考えられていた。)
祇園祭は、この時より続く京都の夏の風物詩で、7月1日から1か月間にわたって行われる長い祭です。
祭行事は八坂神社が主催するものと、山鉾町が主催するものに大別されます。
一般的には、山鉾町が主催する行事が「祇園祭」と認識されることが多く、その中の山鉾行事だけが重要無形民俗文化財に指定されています。山鉾町が主催する諸行事の中でもハイライトとなる山鉾行事は、山鉾が設置される時期により前祭(さきのまつり)と後祭(あとのまつり)[1]の2つに分けられる。山鉾行事は「宵山」(よいやま、前夜祭の意。前祭:7月14日〜16日・後祭:7月21日〜23日)、「山鉾巡行」(前祭:7月17日・後祭:7月24日)が著名です。
八坂神社主催の神事は 「神輿渡御」(神幸:7月17日・還幸:7月24日)や「神輿洗」(7月10日・7月28日)などが著名で、「花傘連合会」が主催する花傘巡行(7月24日)も八坂神社側の行事といえます。
宵山、宵々山、宵々々山には旧家や老舗にて伝来の屏風などの宝物の披露も行われるため、屏風祭の異名があり、また、山鉾巡行では様々な美術工芸品で装飾された重要有形民俗文化財の山鉾が公道を巡るため、「動く美術館」とも例えられます。
祇園祭は数々の三大祭のひとつに挙げられ、京都三大祭(他は上賀茂神社・下鴨神社の葵祭、平安神宮の時代祭)、日本三大祭(他は大阪の天神祭、東京の山王祭、神田祭)、日本三大曳山祭(他は岐阜県高山市の高山祭、埼玉県秩父市の秩父夜祭)、日本三大美祭(他は前述の高山祭と秩父夜祭)のうちの一つであり、日本を代表する祭りです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
③【山開き・海開き・川開き】…それぞれ夏を代表する季語ですが、6月~7月にかけて全国各地で『山開き』『海開き』『川開き』が行われ、日本人に夏の訪れを告げてくれます。
⑴『山開き』が元々は最初で、その昔、名山と呼ばれるような山は、一般の人は立ち入ることのできない聖なる所、信仰の対象とされ、入峰修行をする山伏や僧侶以外の人は普段は登山が禁じられていました。
なぜなら、日本の伝統的な宗教である神道は多神教で、神や女神が様々なものに宿ると信じられていて、例えば、人々は「神や女神は高い山に宿る」と信じ、高い山々を崇拝し、山の神々を恐れ敬っていたからです。
しかし江戸中期以降、各地に山岳信仰の講が結成され、山頂に祀られている神を拝むための講中登山が行われるようになり、このために夏の一定の期間だけ、信仰行事として、山を俗人に開放しました。その期間の始まりを「山開き」と呼んでいます。
名山を祀る神社では、山開きの日に、“山開祭”“開山祭”などの神事(行事)がとり行われ、山の神をまつり、登山の安全を祈りました。
富士山では7月10日富士浅間神社での山開祭(富士宮、須走、御殿場ルート)、木曽の御岳では7月10日、岩手山は6月15日などです。但し、山開きされても、富士山山頂の雪が消えるのは7月中旬頃です。よって山開きの頃はまだ、数㎝の雪が残っています。夏山シーズンのスタートは梅雨が明ける7月下旬からと考えた方がよいです。
しかし、今日では、山開きは一般的に、夏の登山シーズンの幕開けを意味し、地域住民や登山者が山開きの式典のために高い山々の麓に集まり、登山シーズンの始まりを祝い、安全な登山を山の神に祈ります。
山開きは、雪の無い山や気軽に登れるような山は4月頃から、九州の夏山は6月頃から解禁しますが、富士山(山梨県側:吉田ルート:毎年7月1日)や木曽の御岳、日本アルプスなど、いわゆる夏山登山は、7月に山開きする所が多いようです。
最近では、このような信仰的な行事はほとんどなくなり、登山期も年中自由な状態となっています。
上記の山開きに倣ったのが、海開き・川開きです。
⑵【海開き】は【海水浴の解禁日】で、地方によって異なりますが一般的には【7月1日】あたりが多いようです。
春分の日前後に沖縄の八重山諸島で海開きがされるのを皮切りに本州では、和歌山の白浜海岸が5月で最初で、関西&関東地方では7月が多いようです。
これは必ずしも神道による海岸や海の信仰に基づいているわけではありませんが、山開きと同様に、人々は海水浴シーズンの始まりを祝い、海岸における海水浴客の安全を祈ります。
⑶【川開き】は、元は川遊びの解禁日で、GW頃に川開きに伴い、潮干狩り、ヤマメの稚魚を放流したり、アユ漁の豊漁を願う川開き神事が行われたりします
特に、江戸時代から行われている“両国川開き”は有名です。両国橋を中心とした隅田川の下流一帯の茶店や食べ物屋、見せ物小屋などは通常夕方までの営業でしたが、旧暦5月28日~8月28日までの納涼期間中は夜半までの営業が許可されました。この頃始まった花火大会は、現在は7月最終土曜日の“隅田川花火大会”として復活しています。
昔は、水難事故の防止を祈る行事として行われていました。
④【夏至観音】…小豆島町坂手の小豆島八十八ヵ所霊場1番札所:洞雲山
洞雲山では、夏至をはさんだ約50日間(6月初旬~7月中旬)だけ、岩肌に観音像『夏至観音』が浮かび上がります。
「夏至観音」は、20年程前にお遍路さんが偶然撮影し、発見されたという「岩壁に白く浮かび上がる神秘的な観音様」のことで、この時期しか現れないことから、夏至観音と呼ばれています。
【晴天の日の午後3時頃】に、【南西の陽光】が境内の洞窟「仙齢窟」の入り口付近の岩肌に差し込んだ際に、光と影のコントラストで、【わずか数分間】だけ、頭を右に少し傾け、錫杖(しゃくじょう)を持っている約3mの白衣観音像が浮かびあがる不思議な自然現象です。
ありがたい姿を一目拝みたいと、毎年お遍路さん達が大勢参拝に訪れています。
【見られる日時】6月中旬~7月初旬の約50日間の晴天の日の午後3時すぎの数分
太陽の高さが変わると形も変わるため、高さ3m程ある観音様のように見えるのは5分間程で、完全な姿で見えるのは1分間程です。
夏至観音が現れると、住職がホラ貝に合わせて祈祷を始めます。
⑤京都:宇治のアジサイ寺「三室戸寺」のアジサイ
奈良期末期、光仁天皇が宇治川の滝壺から取り出したといわれる千手観音を、宇治の離宮内に安置し、「御室戸寺」と名づけたのが、この寺の始まりとされています。
三室戸寺は観音霊場十番札所にあたり、花山天皇が西国巡礼を創始してからちょうど1000年にあたる1987年に、造園家の故・中根金作氏の設計・施工で、庭園を整備し、四季折々の花を植えました。
6月のアジサイの季節になると、敷地面積5千坪の大庭園に咲きほこる【50種・1万株】の西洋アジサイ、額アジサイ、柏葉アジサイ、幻のアジサイ・七段花等が咲き乱れ、、杉木立の間に咲く様は紫絵巻のようで素晴らしい景観で、多くの見物客でにぎわいます。
最近人気急騰なのが、赤いハート型のあじさいで、これを目当てに訪れる方も増えています。
関西で唯一のアジサイのライトアップが始まると、初夏の夕闇に青や紫、ピンクのしっとりとした姿を浮かび上がらせ、花は丸いぼんぼりをともしたように映り、幻想的な世界へと誘われます。
期間:6月1日~7月9日 時間:8時30分~16時30分
料金:大人500円 小中学生300円
場所:京都府宇治市菟道滋賀谷21 電話:0774-21-2067
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
❹日本の風習
現在の農業は機械化し、田んぼに水を引くのも設備が整い、昔ほど時間がかからなくなりましたが、まだまだ全てが人力で行われていた頃は、田植えは夏至の時期に行っていました。
というのも、田植えに必要な水を田んぼに引く設備がないので、梅雨で田んぼが水に満たされるまで田植えが出来なかったからです。
この夏至から数えて11日目から始まる5日間(7月2日~7日頃)が半夏生(はんげしょう)と呼ばれていますが、農家にとって、半夏生はとても大切な節目なんだそうです。
半夏を過ぎて田植えをしたら、収穫は半分になるという「半夏半作」や、「半夏半農」といって、半夏生を過ぎたら田植えはせず、この期間は農作業を休んだり、物忌みをしたり、様々な行事を行う地方もあったんだそうdす。
また、この時期に降る雨は「半夏雨」といい、大雨になることが多いとされています。毎年、各地で大雨の水害がニュースで取り上げられるのもこの時期には多いのです。
また、熊本県阿蘇地方には「夏至はずらせ半夏は待つな」(田植えは夏至より少し後に、半夏を過ぎないように)との言い習わしがあり、この期間までに田植えを終えないと、「半夏半作」といって収穫が半減すると思われていました。
夏至から数えて11日目を「半夏生」と呼び、昔の農家にとっての田植えの目安で、「半夏生(7月2日頃)までに田植えを終わらせるのがいい」と言われ、そうしないと、稲の根が充分に張らないままで、梅雨明けの大雨で流されてしまいますので、農家にとっては、夏至ではなく、半夏生が大切な節目です。
この時期(半夏生)を、田植えが終わったお祝いに小麦餅などを神様に供えたり、食べたりする風習がありました。
冬至にはかぼちゃを食べる風習が全国にありますが、夏至は地方によって様々です。
①関東地方…新小麦で焼き餅をつくり、食べるのではなく、豊作を祈願して、神に供えたり、手伝ってくれた人に配る風習があります。(春の収穫祭のような風習)
関東では、春~秋は米を育て、秋~春は小麦を育てる「二毛作」が盛んで、この時期は小麦がたくさんあったことから、小麦をつかったお餅を食べることが一般的だったようです。
島根県や熊本県でも似たような行事が行われています。
②尾張地方の一部…【無花果(いちぢく)田楽】を食べる風習があります。…無花果(イチジク)はこの時期の旬物ですし、不老長寿の意味もあります。
味噌田楽(発祥地:岡崎)は、コンニャクに味噌をつけて焼いた料理として有名ですが、コンニャクの代わりにイチジクに味噌をつけて、けしの実と木の芽をのせて、焼いて作るそうです。
③三重県では【ミョウガ】を食べると言われています。
④福井県大野市を中心とした地域…【焼き鯖】…鯖の収穫量が多い。
江戸時代に大野の殿様が飲まず食わずで働いていた農民達に栄養のあるサバを食べる事を勧めたのが始まりで、「半夏生(はげっしょ)鯖」と呼ばれ、現在でもその習慣が続いています。暑い中、重労働であった田植えを乗り切る為に、栄養のあるサバを食べて体力を蓄えるという風習があり、現在でも半夏生にサバを食べる習慣が残っています。脂ののった鯖を丸ごと棒に刺して豪快に焼き、生姜醤油で食べるのが一般的な食べ方のようです。
今も魚屋さんがこの時期になると、1匹丸ごとさばを焼いて半夏生サバとして販売してる所もあるようです。
⑤京都…【三角形の和菓子:水無月(みなづき)】平安時代のこの時期に【氷室の節句】が行なわれ、氷を口にすると、流行病にもかからないと言われていて、それが、氷の形に似せた和菓子に変わって行きました。板の白い部分は「ういろう」で、上には甘く煮た「小豆(あずき)」をのせて、「三角形」に切った和菓子です。(小豆は悪霊祓い、三角形は暑さを耐えるための氷を意味しています。)
他の地域のように、「田植えの感謝&豊作祈願」という意味ではなく、「1年の真ん中にあたる夏至に小豆を食べる」ことで、「半年間の邪気払い」と「これからの無病息災」を願って食べられています。
⑥大阪の一部、明石…【夏至~半夏生(夏至~11日目)までの間】に【タコ】を食す習慣があります。稲の根がタコの八本足(縁起がいい末広がりの数字)のように「八方に」深く広く根が張り、そして吸盤のようにピッタリと地について離れないように」と豊作を祈願するものです。
今は以前の由来が無くなって、冬至のかぼちゃと同じく、「この時期にタコを食べると健康でいられる」と言う意味で伝わりつつあるようです。
実際この時期、泉州でとれる真蛸は旬で、もっとも美味しくなります。タコには疲労回復効果が期待出来るタウリン(コレステロール低下/血糖値低下肝臓の強化/疲労回復)やビタミンE(発がんを抑制/老化防止/更年期障害の予防・改善)、亜鉛(動脈硬化の予防・改善)、コラーゲン(美肌効果)が豊富に含まれています。
⑦奈良県・大阪府河内・北和歌山…夏至から数えて11日の半夏生に「半夏生(はげっしょ)餅」をきな粉をつけて食べます。
田植え後に豊作を祈ってお供えすることを「早苗饗(さなぶり)」ということから、「さなぶり餅」という風に呼ぶこともあるようです。
奈良の農村では、小麦ともち米を同量ずつあわせてついた半夏生餅を作り、豊作を祈ったそうです。これは、室町時代からの風習だそうです。
奈良と似たような風習で「半夏生だんご」を振る舞われていた地域が大阪の河内長野にもあります。(「河内名物半夏生だんご」)京都にもこういった風習の地域があります。
半夏生は田植えも終わる時期で、田植え休みになります。その休みを利用して小麦餅を作り、労のねぎらい田植えを手伝ってもらった家や親戚へお礼に配り、田植えの無事に感謝、秋の豊作などを祈っていたようです。
小麦が入っていることで、もち米だけのお餅よりもさっぱり食べられ、蒸し暑いこの時期にはちょうどいいようです。
お餅を食べる習慣がある所では、餅の様に粘り強くというのが、由来となっています。
⑧島根県、熊本県…小麦で団子やまんじゅうを作って、神棚にお供えします。
⑨香川県…うどん…田植えの終わる頃に、手伝ってくれた人への感謝として、5月に収穫した麦を使ってうどんを打ったのが始まりとされています。
香川県生麺事業協同組合では、この7月2日を「うどんの日」として、天満宮への献麺式や、うどんを無料で振る舞ったりなどされているようです。
⑩長野県…芋汁(やまといも)を食べます。
⑪夏至には、全国各地で【冬瓜(とうがん)】が食べられるんだそうです。
冬という字ですが、こちらは立派な夏の旬野菜で、冬瓜は熱を抑えてくれ、利尿作用もあるので、ムシムシとした湿気の多いこの時期にはピッタリの食べ物ですし、熱中症予防にも良いです。
冬瓜を使った、この時期におすすめの料理は、⑴冬瓜を塩ゆでして作るさっぱりサラダ⑵ひんやり冬瓜汁などがあります。
・・・・・・・・・・・・
上記のように、各地でそれぞれの風習や地方の特色にあった食べ物が振る舞われていたことがわかりますが、これらのほとんどは、その地方の名産品や生産量が高いものが多いようです。
また、夏至だから特別に食べた訳でなく、昔の人の知恵として、重労働の田植えが終わった後の疲労回復や夏バテを防止する為の策で、暑さに負けない体力をつけるためだったのと、五穀豊穣や健康を願うような意味合いが強く、簡単に手に入る地域の旬の食べ物で滋養をつけたのが特徴かもしれません。
上記のような風習を知れば、その日を迎えるにあたって、ただ漠然と過ごすのではなく、思いを馳せる事も出来ると思います。
+。:.゚.:。+゚+。:.゚.:。+゚+。:.゚.:。+゚+。:.゚
お問い合わせは 【図書館カフェHabiRoad 平井克也】 迄ご連絡下さい。
a.右記メールアドレス habiroader@yahoo.co.jp
b.平井克也へのfacebookメッセージ
c.電話:図書館カフェ: 03-6380-5892、070-6439-3695
のいずれかでお願いします。
+。:.゚.:。+゚+。:.゚.:。+゚+。:.゚.:。+゚+。:.゚
【図書館カフェ HABI ∞ ROAD 】
【ブログ】http://ameblo.jp/skmhirai/
【フェイスブック】(図書館カフェ)http://www.facebook.com/habiroader
【営業時間】10:00~21:00 (予約制)
【電話番号】 03-6380-5892 070-6439-3695
【メール】habiroader@yahoo.co.jp
【住所】渋谷区千駄ヶ谷5-32-5 GSハイム新宿南口1階
(新宿高島屋近くの新宿パークホテル前のファミリーマートを新宿御苑方面に10m)
【交通】JR「新宿駅」新南口から徒歩7分、JR「代々木駅」東口から徒歩6分 、
地下鉄「新宿3丁目駅」E-7、E-8出口から徒歩3分
【店主】 平井克也
【フェイスブック】http://www.facebook.com/home.php#!/habiroad