6月5日(月)20時37分、『二十四節気』の【芒種】で、「稲や麦など穂の出る穀物の種をまく季節」となりました。
6月の最初の節気は「芒種の節気」で、稲を植え付ける季節とし、五月雨が間断なく降り続き、農家の皆様は多忙を極める時季としています。
芒種は、稲作中心(国家)だった日本において、絶対に欠かせない日で、主食の稲の成長が国にとって、最も重要なことなので、この時期に神様に無事な稲の成長を祈る【田植え神事(お祭り)】を開催することが多いです。また、稲だけに限らず、芒種の時期には多くの生命が息吹き、その命の輝きを私達の前に見せてくれる時期とも言えます。
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今回は【芒種の気象特徴と養生】についてです。
【5】【気象特徴と養生】
❶【気象特徴】
芒種の頃は、梅雨の時期と重なり、紫陽花が色づき始めます。
梅雨の時期は、心だけでなく、身体にもいろいろな変化が起きます。
湿度が高くて、気温のわりに少し蒸し暑くなってくるジメジメとした梅雨の時期は、何となく身体や頭の重い・ダルイ・疲れやすい、のぼせ・動悸・息切れ、睡眠不足、身体の節々が痛む、等の症状…といった症状が現われたり、食欲がなくなったりと、天気と同じように体調もすっきりしないことが多いと思います。
また、雨の日が続くと、外出もおっくうで、家にこもりがちになりますが、そんな季節(梅雨)だからこそ、毎日を楽しく過ごす工夫をしたいものです。
例えば、悠々自適な暮らしを表現する「晴耕雨読」という言葉があるように、雨の日に家で読書をするのはなかなか贅沢なことです。
読書に限らず、映画を観たり、梅酒づくりに挑戦してみたり、思い切って部屋の模様替えをしてみたりするのもいいかもしれません。
また、雨の日はホコリが立ちにくいので、部屋の片付けや掃除もしやすくなります。
外に出れば、紫陽花や立葵(たちあおい)など、季節の花がきれいな花を咲かせています。
傘やレインコート、レインブーツなど、お洒落なレイングッズもたくさん出回っていますので、お気に入りを見つければ、雨の日の外出も楽しくなりそうですね。
そして、歌(“Singing in the rain~♪”)でも口ずさみながら、外出を楽しみましょう。
一方、芒種は別名、”毒月”とも呼ばれています。
その理由は急に暑くなり、陽気が頂点に達する頃なので、身体に負担がかかりやすい上、食べ物が痛みやすく、湿毒が発生しやすい為です。
そのため、昔はこの時期に病気にかかり、亡くなる人が多かったそうです。
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❷【この時期に注意したいチェックポイント】
普段より気を配りたいのは、【食品の保存】です。「カビが生えやすい時期」なので、食材は早めに使いましょう。
・【酢】で台所をこまめに【消毒】するなどの工夫をして下さい。
・時々【梅干】を食べるようにすると、【食中毒の予防】にもなります。
・梅雨の晴れ間を見つけて、なるべく部屋を【換気】し、【布団を干す】よう心がけましょう。「カビやダニの発生を防ぐ」ことができます。
・部屋と外気の温度差は8℃前後で保つようにしましょう。それ以上の差だと人体本来の温度調節機能が鈍くなり、体調を崩しやすくなります。
・エアコンをつけっぱなしにしていると換気をせず、空気がよどみ、酸欠になりやすくなります。3~4時間毎に換気をするようにしましょう。
・水を飲み過ぎに注意しましょう。
・入浴や洗髪をしっかりしましょう。
・電車やバスも遅れがちなので、出かける時は時間にゆとりを持って早めに家を出ましょう。
・なるべくストレスを溜めない工夫をしましょう。
・「梅雨はうつ状態になりやすい時期」でもあります。
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❸【芒種の養生】
★芒種における養生の重要な点は…
「季節の気候の特徴に基づいて」、精神調養の面では、怒らず、憂鬱にならず、リラックスして、精神的に楽しい状態を維持させ、気機を宣暢させることです。
そうすれば、気血の巡りも良くなり、排泄も順調になります。
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①日常生活の面では…
・日照に合わせ、遅寝早起(遅く床につき、早起き)しましょう。適度に散歩しましょう。
・夏は、昼が長く、夜が短いため、【昼寝】をして、疲労回復させ、健康維持に役立てましょう。
・太陽の直射日光を避け、日焼けを防ぎ、暑さを防ぐことに注意しましょう。
・陽気の盛んなことに順応し、適当に太陽を浴びて、気血の巡りを良くさせましょう。
梅雨の晴れ間には少しはお日様に当たりましょう。太陽光線により、骨を丈夫にする活性化ビタミンDは皮膚で作られます。
なお、朝日に当たると、「幸せホルモン」セロトニンの分泌が促され、精神が安定し、気分が穏やかになり、幸福感が湧き上がってきますから、お奨めです。
・血気の巡りに役立つように、精神を奮い立たせましょう。
・昼寝をすると、疲労回復によく、健康維持に役立ちます。
・昼間は気温は高く、暑く、汗をかきやすいので、服はこまめに着替えましょう。
・食事は、あっさりした食事を摂って、甘いものを控えましょう。
・室内は除湿して、晴れた日は寝具を天日で干し、乾燥させることが大切です。そうすれば、雑菌や害虫を予防できますし、何より快適で,ぐっすり安眠できます。
・夏バテや熱中症を予防するために、こまめに入浴し、皮膚を柔らかくほぐし、皮膚から“陽熱(陽の熱さ)”を発泄させましょう。
但し、1点だけ注意が必要で、汗をかいてすぐ入浴をしないようにしましょう。
これは“汗出不見湿”、“汗出見湿、乃生痤瘡”。つまり、汗は湿に見えないが、毛孔に詰れば、湿熱になり、痤瘡の原因になるということを言っています。
暑い時にはシャワーで済ませがちですが、健康のためには、こういう時期こそ、きちんと首まで風呂につかるのが大切です。汗をかきましょう。
体表の汗だけでなく、体の奥からの汗を出すことが、特にこの時期には重要です。それには、【足湯】や【半身浴】も効果的です。
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日本は湿気の多い国ですが、どういう訳か、暑さや寒さ、乾燥に比べて、“湿”に対しては、かなり無防備だと思います。
外界の湿気が体内に入り込み、そのまま停留してしまうと、“湿邪(しつじゃ)“となって、身体に不快な症状(体の重たい感じ、胸のつかえ、むくみ等)をもたらします。
江戸時代、【貝原益軒】が著した【養生訓】によれば、『湿に当たると、底深く身体に入り込んできて、容易に治らない』として、
居室や寝室の床を高くする、塗り立ての壁を避ける、酒・茶・湯水を多く飲まない、瓜・果実・冷たい麺類を多くとらない生活を心がけるようにと記されています。
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②【湿】は様々な不調の原因になります!
陽気が盛んになると、生き物としての活力が増し、肌の毛穴が開き、体温調節のために汗を出そうとします。
一方、芒種の時期は雨が多く、また湿度が高く、身体の中にも湿気が溜まりやすくなります。
空気が乾燥していれば、汗をかいて、体温の調節をすることができますが、湿気が多い時は、うまく汗をかけずに、体内に熱がこもってしまいます。
すると、体内の水分調節がうまくいかず、湿度は【湿邪】として体内に留まりやすく、それと同時に気血水の巡りも滞ってくるため、身体の末端である手足が重く、だるい、むくみなどの症状がでてきて、気分も憂鬱になります。
中医学(中国漢方)では、「湿気の多い時期の体調不良」を【湿邪】と結びつけて考えます。
【湿(=身体に溜まった湿気)】は自然界に存在する六気「風・寒・暑・湿・燥・火」の一つで、これらが人体に入って身体に悪影響を及ぼすと、6つの邪気「六淫」となります。
これに対し、体内の機能が低下することで、身体の中から生じる5つの邪気を「内生五邪(内風・内寒・内湿・内燥・内火)」と言います。
このように、【湿邪】は【外から入ってくる「外湿」】と【体内から生じる「内湿」】に分かれ、いずれも身体に様々な不調を引き起こす原因となっています。
「消化器官は元々【湿】を嫌う」ので、食欲不振やお腹の調子が崩れやすくなったりします。
【湿】が過剰に停滞して、排出されにくい状態になっていることを【湿邪】といい、これを冷まそうとして、冷たいものを摂取すると、【脾胃】に負担がかかって大変です。
【湿邪】の特徴は、「重くて、粘り気があり、停滞しやすい」ことで、「身体のだるさや鈍い痛み、水分の停滞によるむくみ、胃の不調といった症状が現れます」が、その症状は治りにくく、長引くこともあるため注意が必要です。
さらに、【湿】が血液や気の流れの邪魔をすれば、身体を冷えやすくしたり、関節痛を引き起こしたりもします。
この【湿】の特徴は、“重い、濁る、粘る、滞る”で、いかにも陰湿そうで、身体にはかなり手ごわい相手なのです。
また、【湿邪】は湿気の多い季節によく発生するので、この時期は特に気をつけましょう。
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また、梅雨に入ると、必ず耳にする「不快指数」という言葉がありますが、これは蒸し暑さを数量的に表した指数で、例えば、気温27度・湿度55%で不快指数75であり、気温29度・湿度70%で不快指数80となり、日本人の場合75を越えると10%が、85になると93%の人が不快と感じると言われています。
湿度が高いと、汗が蒸発せず、いつまでも皮膚の上を湿らせるために、皮膚の温度が過剰に下がる現象が起き、このような状態が続くことで関節痛や消化不良を起こす要因を【湿邪】と呼んでいますが、除湿機やエアコンのドライ機能で取り除くことができるため、室内ではその影響を受けることが随分減りました。
しかし、屋外では蒸し暑さで多く汗をかくことは変わらず、逆に室内に入ってエアコンの風で急速に汗が乾かされる時に気化熱として体表面の熱が奪われ、体温が下がって、体調を崩すことが増えています。
それには、ワイシャツやブラウスの下に肌着を着ることが大切なことです。これは【「湿邪」に対する養生法】で、昔の人は着物の下に肌襦袢(じゅばん)を着て汗を吸わせていました。
これは、四季がある日本ならではの生活の知恵です。これからの季節、上手く重ね着をして汗を吸収させ、身体を冷やさないように工夫しましょう。
そして、忘れてならないのは、汗をかいた分、こまめに水分を補給しましょう。
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③【梅雨の健康は「湿退治」がポイント】
【湿邪】による体調不良には⑴「外湿」と⑵「内湿」、2つの病因があります。
自分にあてはまる症状から病因を考え、毎日の食事をちょっと工夫しながら【湿邪】を退治してしまいましょう。
⑴【外湿】…だるさを感じたら「外湿」に注意し、毎日発散して、【湿邪】を溜めないましょう!
湿気の多いジメジメとした季節は【湿邪】が身体に入りやすくなり、様々な不調が現れます。
では、身体が【湿邪】に侵されると、下記ような症状が現れます。
・【湿邪】には「重い」という特徴があり、また、「陰の邪気」にあたるため、「陽気の動きを鈍らせます」ので、「頭や身体が重い、頭がすっきりせず、体の動きが鈍くなる」といった症状が現れます。
・「普段から血行が悪く、水分代謝が良くない人」は、湿邪の持つ「停滞」という特徴に注意して下さい。
水分代謝がさらに悪化し、身体の〈むくみ〉が普段より強く出ることがあります。
・「濁」という特徴から現れやすいのは、皮膚のトラブル。分泌物が多くジュクジュクするなど、皮膚が不安定な状態になります。
皮膚が弱い人、皮膚の慢性疾患がある人などは、この時期、特に注意してケアしましょう。
同じ濁の特徴から、尿の濁り、残尿感、排尿痛など尿のトラブルも多く見られるので、なるべく膀胱に負担をかけないよう心がけて下さい。
・〈湿は下に集まります〉ので、女性はオリモノが多くなることもあります。なので、できるだけ清潔にし、通気性の良いコットンなどの下着を選びましょう。
・【湿邪】が身体に「停滞」していると、舌に苔が溜まりやすく、「口の中がネバネバします」。
特に身体の不調を感じていなくても、そのような状態に気付いたら要注意です。
【湿邪】は、「溜まってしまう前に毎日少しずつ取り除く」ことで、症状を抑えることができます。
下記<食の養生⑴>をご覧頂き、「利尿作用のある飲み物」や「香りの良い食材」を選んで、湿邪を発散し(余分な水分を取り除き)、身体に溜めないよう心がけましょう。
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⑵【内湿】は…胃の不調がサインなので、「【脾胃】を丈夫にして、湿邪を撃退しましょう!」
【内湿】は、主に【脾胃】を傷みやすく、〈【脾胃】の機能が低下することで、身体の内側から生じるもの〉ですが、【外湿】とも深い関わりがあります。
【脾胃】は、消化器官と深く関連する臓器で、〈食べ物を消化、吸収して、栄養や水分を全身に運ぶ〉と同時に、〈体内の水分代謝を管理する大切な役割〉を担っています。
冷たい物の取り過ぎや、必要以上の水分の取り過ぎも、むくみ、重だるさ、下痢、吐き気、胃腸障害の原因になります。
お腹が張ったり、下痢などの症状も体内の水分が滞るために起こしやすくなります。
このような機能が低下すると、外から入ってきた湿を取り除くことができず、脾胃の機能がさらに弱くなって、【内湿】が生じるのです。
身体に【内湿】が溜まると、【脾胃】に関わる様々な症状が現れます。
・〈倦怠感、疲労感〉…〈【脾胃】は四肢や筋肉と関わりが深い〉ため、〈【脾胃】が弱くなることで、身体に倦怠感、疲労感が強く現れます〉。
・〈食欲不振〉…【脾胃】の機能が低下するため、「食欲がない」「少ししか食べられない」といった〈食欲不振〉に悩まされることもあります。
・〈消化不良〉…いつもと同じものを食べていても、梅雨時期は消化しにくいことがありますので、食材選びや食事には特に気をつけて下さい。
・〈下痢〉〈軟便〉…〈水分代謝が悪く〉、栄養分が消化、吸収されずにそのまま排出されてしまうため、〈下痢〉や〈軟便〉になりやすいのも特徴です。
【脾胃】の状態を反映する便に、〈軟便〉などの症状が表れれば、〈脾胃が弱っているサイン〉なので、症状がひどくなる前に、早めの養生を心がけましょう。
・その他、湿邪の影響で脾胃が弱くなると、顔色は黄色く、つやがなくなり、舌が腫れぼったくなるなどの症状が見られることもあります。
内湿の影響で弱った脾胃を回復するには、脾胃の機能を健やかに保つよう補いながら、湿邪を取り除いて行きます。
下記<食の養生⑴>をご覧頂き、記載した3種類の食材を、バランスよく食事に取り入れてみて下さい。
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④このように、「湿気の多い気候は〈脾胃〉に負担をかけます」が、「急激な気温の変化は【肺】を傷めます」。
下記<食の養生⑶>をご覧下さい。
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⑤また、芒種の頃は、夏至に近く、昼の長さは1年で最も長くなる時期なので、活動時間は長くなり、「夏は心の季節」ということもあって、心臓の働きも活発になり、心臓は長時間働かされます。(人の身体は、夏:心の季節に十分に対応しています)
なので、「脾・胃(ひ・い)」と「心(しん)」の臓に影響しやすく,胃腸の弱い人や心臓の弱い人,高血圧の人は充分に注意すべきでしょう。
これに対応するには、「エネルギー代謝をスムーズにする」ことが重要です。
下記<食の養生⑷>をご覧下さい。
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❹【食養生の面】では、
【この時期の食養生】としては…【「湿熱疾病」と「冷たい物中毒」の合併症】からの脱却です。
⑴梅雨に入ると、【湿熱】で【脾胃】が弱ってきますから、胃に負担がかからないよう、「油っこいものを避け」、「よく噛んで食べる」のが第1となります。
⑵この時期、通常はエネルギーの消耗が少ないですから、【腹八分】とし、食欲も落ちてきますから、下記のようなもので、美味しく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いでしょう。
①【食養生の歴史】…歴代の養生家はいずれも夏の3ヵ月の飲食によって補うと考えていました。
・『呂氏春秋・尽全編』によれば、「一般に強い濃厚な味がないものを食べ、激しい味ときつい酒は与えない」と指摘しています。
・唐代の孫思邈は人々が「常に軽くて清らかで甘くて薄い物を食べ、オオムギ、小麦、うるち米がよい」と提唱し、また「養生に長じる者は常に肉を少なく食べ、ご飯を多く食べなければならない」と言いました。
・元代の医学家:朱丹渓は『茹談論』で、「肉食を少なく食べ、穀物、野菜、果実、自然の味を多く食べる」と言っていました。
②【栄養学】の角度から見て…、【〈あっさりしている飲食〉は〈養生において、取って代わることのできない作用〉があります】。
例えば、野菜、豆類は人体のために必要な炭水化物、蛋白質、脂肪、鉱物質などの栄養素と大量のビタミンを提供することができ、ビタミンはまた、人体の新陳代謝において欠くことのできないものでもあり、病気を予防し、老化を防止することができます。
⑴果物、野菜の中の【ビタミンC】は、〈体内の酸化還元のための重要な物質〉であり、それは【細胞の酸素吸収を促す】ことができ、細胞間といくつかのホルモンの形成の中で欠かせない成分です。その他、ビタミンCはさらに病理的変化を抑え、抗体の形成を促進し、体の病気への抵抗力を高めます。
高齢の方々にとっては、果物、野菜を多く食べ、その中から摂取される【ビタミンC】は【血管に対して一定の補完・保養の作用】があり、さらに、「血管の壁に堆積した【コレステロール】を【肝臓】に移して、【胆汁酸】に変えます」。これは【動脈硬化の予防と治療】という面で一定の作用があります。
⑵野菜の中の【セルロース】はスムーズな排便に役立ち、毒素の吸収を減少し、早期の老化を予防し、便秘によって引き起こされる直腸癌の発生を予防する面で、極めて重要です。
⑶その他、飲食による栄養補給と同時に、『辛すぎ、甘すぎるものを食べるなかれ』ということも重要なことです。
ⅰ)辛い食物を食べすぎれば…体内のナトリウムのイオンが過剰となり、高齢者は、運動量が小さく、血圧を上昇させることになり、さらには脳の血管機能の障害をもたらすことになります。
ⅱ)甘い食物を食べすぎれば…人体の健康にマイナスであり、年齢の増加に従って、体内の炭水化物の代謝能力が次第に小さくなり、中間の産物、例えば糖分の蓄積を引き起こしやすく、糖分は高脂血症と高コレステロール症を招き、ひどい者は糖尿病さえ誘発することになります。
上記のように、飲食は養生・病気予防の極めて重要な手段です。
そのため、夏季に入ると、人体の新陳代謝は盛んになり、汗が体外に排出しやすく、気を消耗し、唾液の分泌を多くする時に、暑気を払い、気をよく保ち、唾液の分泌を促し、渇きを癒す食物を多く食べなければなりません。
高齢者は体の機能が減退しているため、暑い天気に消化液の分泌が減り、心臓・脳の血管がある程度硬化しているため、飲食はあっさりしたものの補給を主とし、暑気を払い解熱し、胃を保養し脾臓をよくし、血圧を下げ、脂肪を減らす食品を補とします。
女性は月経期あるいは産後に、気候がだんだん暑くなっても、生のものや冷たいもの性涼の食品を食べるのを避けることによって、誘発される様々な病気を防ぎます。
③対処食養生
⑴【外湿】への対処食養生法
<食の養生⑴>「利尿作用のある飲み物」や「香りの良い食材」を選んで、湿邪を発散し(余分な水分を取り除き)、身体に溜めないよう心がけましょう。
体内の水分調節(利尿・利湿→水だし)…「大麦・ハト麦」「緑豆もやし、緑豆春雨」「小豆、黒豆、緑豆、空豆、いんげん、枝豆、えんどう、グリーンピース、落花生」「なす、アスパラ、高菜、しそ、とうもろこし」うり科の食材:「キュウリ、冬瓜、スイカ、スイカの皮」」「ブドウ」「お茶、コーヒー、ココア」など
・「冷たいものを控えて」、【小豆・えんどう豆・いんげん豆】など、腎臓の働きを助ける豆類を取り入れると、体内の余分な水を排出してくれすっきり過ごせます。
・【キュウリ】は…身体にこもった余分な熱や水分の滞りを排出します。また、喉の渇きを癒します。
【キュウリ】は…「寒性」で気を降ろす作用があり、身体の熱を冷ます作用があります。そのため、身体の熱がこもりやすい夏やのぼせやすい人に向いています。
キュウリにはカリウムが多く含まれており、利尿作用やむくみを取り、ナトリウムの排泄を促して血圧を下げる作用があります。
また、キュウリなどのウリ科の野菜に含まれるククルビタシンは胃液や唾液の分泌を促し、食欲を増進させます。
・【すいかの皮】には、意外ですが、水の巡りを良くする効果があります。
キュウリや冬瓜のように調理したり、漬け物にしたり、いろいろな調理法を楽しんで、むくまないすっきりした夏を目指しましょう。
・【空豆】は…胃腸の働きを高め、身体に溜まった余分な水分を排出して体力を向上させます。
カリウムを多く含み、体のむくみをとります。良質なタンパク質を含むため、肝機能を高める作用があります。
空豆にはビタミンB1、ビタミンB2が含まれており、糖やタンパク質のエネルギー代謝を助け、またビタミンB1は乳酸の排出を促すことから疲労回復にもよいと言われています。
また、普段食べる機会の少ないさやの部分には食物繊維が多く含まれており、鮮度の良いものはやわらかいので、筋を取ってさやごと焼いて食べるのもお奨めです。
※今が旬の食材には、体にこもった余分な熱を冷ます、水分の代謝をよくする、胃腸を元気にするなど、役立つ働きがあります。
⑵【内湿】への対処食養生法
<食の養生⑵>この時期は、なるべく食材を加熱するようにしましょう。
ⅰ)脾胃を元気にする食材…「あわ、キビ、大麦、ハト麦、黒米、もち米」「山芋、サツマイモ、じゃが芋」「いんげん豆、大豆製品、黒豆、空豆」「落花生、くるみ、栗、枝豆、蓮の実」「おくら、キャベツ、小松菜、生姜、青梗菜、とうもろこし、なす、人参、カボチャ」など
・豆腐も冷奴ではなく、湯豆腐などにして食べるようにして下さい。
・【脾胃】はやわらかくて、温かい物、脂肪の少ないものを好みますので、胃腸が弱っている時は、【小豆】や【ハト麦】をやわらかく煮て、【カボチャ】を加えた〈お粥〉を召し上がると良いです。
カボチャの甘味が美味しいので、塩味だけで整えて下さい。身体を温めるうどんやにゅうめんをやわらかく炊いて、カボチャや人参を加えて食べても良いです。
生姜やネギを薬味として散らし、身体を温めて、【湿】を飛ばしましょう。
・胃の経絡を刺激する陰ヨガポーズもおすすめです。
ⅱ)脾胃を温める食材(発汗&発散作用〉…玉ネギ、ねぎ、紫蘇、香菜、三つ葉、みょうが、ししとう、生姜、ニンニク、キムチ、山椒の実、小茴香、柑橘類… など
気温はまださほど上がらず、冷んやりとした雨が降ることもあり、そんな時期は、「身体を冷やさない除湿を心がけること」が大切です。
ⅲ)湿を取り除く食材…ハト麦茶、トウモロコシ、小豆、鯵
ハト麦と言えば、日本ではハト麦茶で知られていますが、薬膳の故郷の中国では、ハト麦の実から皮(殻)を取り除いたものを「ヨクイニン」と言います。
体内の余分な水湿を排泄させ、尿の出をよくしたり、むくみを解消する働きがある他、肌荒れや吹き出物などの肌トラブル解消、美肌のための生薬としても古くから用いられてきました。
ハト麦は少し余分に茹でておいて、冷凍も可能です。梅雨時には特に、雑穀の一つとして、是非摂り入れていきたい食材です。
※お奨めは、身体にたまった余分な水分を取り除く力のある食べものⅲや、湿気に弱い胃腸の働きを高める食材ⅰですが、
身体を温めながら、気の巡りをよくしてくれるものⅱをほどよく使うと、湿の停滞によって起こりがちな、胸のつかえ感や痛みを和らげるのを助けてくれます。
余分な湿の排出を促して、高温多湿なこの時期を快適に過ごしましょう!
⑶【肺】の食養生法
<食の養生⑶>ⅰ)〈【肺脾腎】を補強する〉には、余分な湿毒を除く【タンポポ茶+漢方薬の〈通竅(つうきょう)〉】の組み合わせが重要です。
ⅱ)腎臓を補って、肺を助け、消化を良くするウリ科食品のニガウリ、冬瓜、スイカ、きゅうり等やパパイヤ、トマト、緑豆など。
⑷【心臓】の食養生法
<食の養生⑷>⑴これにもってこいの野菜がこの頃からの旬が【タマネギ】です。
特段な栄養価はないものの、「特有の刺激:臭硫化アリル」が「ビタミンB1を活性化」させ、これによって、「エネルギー産生回路を円滑に回す」、つまり、「スタミナ食」になりますから、「心臓にとって実に望ましい食品」と言えます。旬のタマネギを大いに食しましょう。
⑵同じ頃に旬となってくる【ニンニク】も、「薬効成分:アリシン」が同様な働きをしますから、これも料理に取り入れたいものです。
④五味
「夏は苦味を欲する」と言いますが、「5つの味:五味」についても頭に置いておいて下さい。
漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は【主:苦味、従:辛味、添:甘味】の三味の組み合わせを最適としています。
料理は、この三味を頭に置いて、行なって下さい。
⑤【おすすめの食材】
【蕎麦(そば)】は、むくみ・のぼせ・うつ等を治し、イライラを解消し、うつを防ぐ効果もあります。不眠にも効果的です。身体に負担もかけません。
体を冷やす効果があるので、生姜やネギ、わさびなどの薬味と一緒に食べると体温をうまく調節できます。
蕎麦の成分ルチンはビタミン様物質と言われ、血管収縮作用、毛細血管の透過抑制作用、毛細血管壁を強くする効果があり、脳出血の予防に効果があります。
パイナップル:⑴清熱解暑の作用があり、熱中症の予防に良いです。
⑵気を補って消化不良、 便秘や下痢を改善するので、暑さバテの回復にお勧めです。
⑶肥満、むくみ、 喘息等にも良いです。
但し、冷え性の人は食べ過ぎないようにしましょう。
その他の食材としては大豆、ほうれん草、キャベツがお奨めです。
⑥【体質】
まずは自分がどの体質かをしっかり知りましょう!
芒種において養生すべき体質は、【血瘀質】と【痰湿質】です。
⑴【痰湿 (たんしつ)質の養生ポイント】は…【暑湿の除去と防寒・防涼】
痰湿質の方は芒種の時期から利水去湿効果がある食物を食べて下さい。例えば、ハトムギ、小豆などが良いでしょう。
痰湿質の方の体型は大体太りがち、夏場には冷たい物が好きです。これは健康には良くなく、体内の寒湿を重くさせ、胃腸を障害します。
従って、食事はあっさりした食事で、お粥や野菜などを摂ることがおすすめです。
おすすめ茶:サンザシ茶、干しゴーヤとレモングラス茶、干し蓮の葉とレモング ラス茶
⑵【血瘀(けつお)質の養生ポイント】は…【水分補充、清熱、運動】です。
芒種は気温が徐々に高くなり、汗をかくと体内の水分が喪失し、血瘀質の方にとっては、大きな痛手となります。
この時期、必ず水分補給を心がけて下さい。
また、血瘀質は熱の発散機能が弱いので、体内に熱がこもりやすいので、清熱することも重要です。
例えば、ゴルフは適度な運動でおすすめなのですが、プレイ中は必ず水分補給をこまめにし、血栓等ができないように注意することが重要です。
おすすめ茶:サンザシの黒糖茶、田七人参・サンザシ・ハチミツ茶
注意すべき病気…「心臓病・冠動脈性疾患、口内炎」
一方、適当な運動は血の流れをよくさせます。
❺梅雨の養生にお奨めのツボ
足の三里…脾胃を強くするツボ
膝頭の外側の下にできるくぼみから指4本下
内関穴…精神の安定、ストレス解消に
❻【運動】
養心ヨガ…この時期は心経を鍛えることが養生のコツで、心経は心・循環器系、脳障害、精神障害などの際に重要になってきます。
⑴まず、立ち姿勢で両足を肩幅に開き、つま先を正面に向けて立ちます。お腹を引き締め、背筋を伸ばします。
その際、両手は合わせて胸の前におき、息を吸う時、両手を合わせたまま胸から、頭上によく伸展します。
⑵次に、息を吐きながら合わせた両手をゆっくり胸の位置に戻す。このようなポーズを5呼吸分ほど続けましょう。
❼【入浴】
暑い時にはシャワーで済ませがちですが、健康のためには、こういう時期こそ、きちんと首まで風呂につかり、汗をかくことが重要です。体表の汗だけでなく、体の奥からの汗が特にこの時期には必要です。
足湯や半身浴も効果的です。汗は体温調節や血液の循環に重要な役割を果たします。
芳香浴や薬湯浴など楽しみながら、ぬるま湯に首まで浸かり、皮膚を柔らかくし、夏の皮膚病を予防しましょう。
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【梅雨】は日本ならではの潤いの季節で、恵みの梅雨ですから、豊かな四季の移ろいとして楽しみましょう。
そして、食事や生活のちょっとした心がけや工夫で、【湿邪】を追い払い、心身ともに梅雨をすっきりと、楽しく、元気に過ごしましょう。
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