【4】立冬の過ごし方
寒さが身に感じられる立冬の時期ですが,秋物に少し重ね着をすれば,過ごすことができる程度です。
しかし,これから日々寒さが増していきますので,本格的な冬に向け,準備を始める時期です。
衣類や寝具のみならず,暖房器具もそろそろ準備しておきましょう♪
また,秋までの出来事を振り返り,新しい年の始まりに向けて,心構えをしておきましょう♪
❶立冬の期間やその前後に行われる行事や風習
①行事
⑴「酉の市(とりのいち)」…一の酉(11/9(火)),二の酉(11/21(日))
㈠「酉の市」は,東京浅草の鳳神社が発祥地で有名です。
鷲神社は,江戸時代から「鳥の社(とりのやしろ)」,また「御鳥(おとり)」といわれており,現在は「おとりさま」と一般に親しまれ,崇敬を集めています。
[鷲神社の御由緒]…天日鷲命(あめのひわしのみこと)日本武尊(やまとたけるのみこと)をお祀りした由緒正しい神社です。
11月の例祭も現在は「酉の市」と広く知られていますが,正しくは「酉の祭(トリノマチ)」と呼ばれた神祭の日です。
以前は,トリノマチと呼ばれていましたが、祭に市が立ったので、次第に市の文字があてられてきました。
㈡酉の市(酉の祭)…11月酉の日の午前零時に打ち鳴らされる「一番太鼓」を合図に始まり,終日お祭が執り行われます。
開運や商売繁盛を記念して,縁起物を販売する露店は風物詩になっています。
酉の市の始まりは秋の終わりの収穫祭とされ,今年の恵みに感謝して,神社に祀ることが,いつの間にか神道,仏教の説話に重なっていったと言われています。
今日では熊手やえびす様、開運小判や樽酒など、縁起物を揃えた市が立って、縁日がにぎやかに開かれます。
・ かっこめ(はっこめ:熊手御守)…開運・商売繁昌のお守りとして「酉の市」のみに授与されますが,神様の御分霊です。
・11月に酉の日が2回ある時は二の酉、3回ある時は三の酉といわれます。
⑵「伏見稲荷お火焚き祭り」
京都伏見稲荷では、五穀豊穣、万物育成を感謝して、稲荷大神を祭ります。
火焚串と呼ばれる木製の串は、全日本から集められ、斎場の火にくべられて、罪障消滅、万福招来を祈ります。
また当日の参詣者もこれを求めて、参列することができます。
2020年伏見のお火焚き祭りは11月8日(日)の予定です。
⑶「萩時代祭り」
山口県萩市の歴史をテーマにしたパレードが有名です。
明治維新における長州藩の活躍を讃え、維新の志士や江戸時代の装束に身を包んだ参加者たちが街中を行進します。
⑷出雲大社の神在祭
島根県の出雲大社で、日本中の神様達を迎えるお祭りが行われます。
旧暦での10月は,「神無月」と呼ばれていますが,出雲地方では「神在月」と呼ばれます。
神在祭のために神様が全国から集まってくるので、そう呼ばれています。
⑸丸の内イルミネーション
立冬の頃から年末にかけて、全国のスポットで街路のイルミネーションが点灯されます。
東京のど真ん中、丸の内では立冬の日からイルミネーションが点灯され、いつものビジネス街がまばゆいファッションタウンに変わります。
②風習
⑴七五三(しちごさん)…日本特有の習慣…11月15日(月)
七つまでは神様の子供として考えれらていたことをベースに,数えの歳で、男の子は3歳・5歳、女の子は3歳・7歳の時に、各地の神社へお参り(七五三詣で)へ行き,子供の成長を神様に見て頂き,今後の健やかな成長を願う、というものです。
意味合いはそれぞれ異なり,3歳は髪を伸ばし始める「髪置きの儀」,5歳は初めてはかまを着る「袴儀」,7歳は大人と同じ帯を結ぶ「帯び解きの儀」といいます。
七五三で、細長く作った[千歳飴]を食べるのは,親が子供達の長寿を祈るためで,末永い幸せを祈願します。
今年、この歳のお子様をお持ちの親御様は,「七五三詣で」はお近くの神社で祝いましょう♪
○[起源]…徳川綱吉が長男の健康を祈って、行ったものと言われています。
江戸時代は子供が無事育つのは難しかったようで、まずは3歳まで、次は5歳まで、7歳までと節目を超えるたびに親はホッと胸をなでおろし、天に感謝していたと思います。
また、旧暦の11月15日は「鬼宿日」で、これは鬼が出歩かない日で何事にも吉、とされていました。
⑵「亥の子(いのこ)の日」…旧暦10月は亥(いのしし)の月、この月の上旬の亥の日を「亥の子」(いのこ)と言います。
現在は11月の第一亥の日(2021年は11月11日)を指すのが一般的で、ちょうど立冬の頃にめぐってきます。
㈠「亥の子の日」のコタツ開き…2021年は11月12日(金)
日本の文化に深く関わる陰陽五行説において「亥」は水にあたり,火に強いとされていますので,「亥の子の日」に「こたつ開き」や「炉開き」をすると火事にならないと言われており,コタツなどの暖房器具を出したり,囲炉裏に火入れをして,炉を使い始め,冬の準備を始めます。
・「鎮火のお供え」…少しずつ気温が下がり、火を使い始める時期なので、寺社では鎮火祭が行われます。
鎮火祭では里芋やミカン、魔除けの赤飯をお供えして火の用心を願います。
現代でも、冬が来ると嬉しいものの一つがこたつですね。
今年の立冬はこたつで始めてみましょう♪
※家でも火の用心で,火の取り扱いには気をつけましょう♪
㈡「亥の子祭り」…2021年は11月111日(木)
主に西日本で見られる行事で,多産のイノシシ(亥)にあやかり,「亥の子」の日にイノシシの子に見立てた「亥の子餅」を食べ,無病息災や家内安全,商売繁盛,子孫繁栄を祈願し,田の神に供えて収穫を祝う風習があります。
農村では刈入れが終わった時期であり,収穫の祝いと感謝の意味もあり,この日に田の神さまが山にお帰りになるともされています。
地域によってお祭りの内容が少し違いますが、一般的には、石に何本かの縄をつけたものを引きながら、歌を歌う内容になっています。
茶道の炉開きでも、亥の子餅を食べる所が多いです。
(※)亥の子餅は地方によって色や形が様々あり、これと言った決まりがありませんが、元々は大豆,小豆,ごま,栗,柿などの7種類の粉を、新米をついた餅に入れていたと言われています。
「亥の子」の日の「亥の刻」(夜の10時頃)に亥の子餅を食べ病気にならないと言う俗信があります。
㈢江戸時代にはこの日に幕府が亥の子餅を配り、囲炉裏を開いて、炉で鍋を焼き、火鉢に火を盛る習慣があったそうです。
冬支度の仕上げですね。
③その他
⑴しめ縄作り…地域によって違いますが,正月に使うしめ縄もこの頃から作られるようになります。
風習では藁を使ったしめ縄が有名ですが、最近は麻や真菰を使ったり等でバリエーションが増えています。
⑵冬の使者:「木枯らし」は…晩秋から初冬に吹く冷たくやや強い北風で、落葉樹の葉が吹き落とされ、一気に冬枯れの景色に変化しまうことに由来します。
気象庁で木枯らし1号が発表されると,いよいよ冬到来で,冬型の気圧配置になった証です。
⑶仙石原のススキ…箱根仙石原の山裾には、一面にススキが広がっていますが、立冬の時期になると、ススキが淡い黄金色に色付き、山裾全てが黄金色に染め上げられます。
④古代中国では?
古代中国で立冬の行事は…立春・立夏・立秋と並んで大切な日で,皇帝は文官武官を引き連れて,都の北郊外に作った蔡壇まで出かけ,お祝いしたと言います。
この日は文官武官には冬の衣類を,孤児や寡婦には救済金を与えていたそうです。…(福祉政策)
⑤行事食
⑴日本…立冬に特別な行事食はありません。
日本の一部地域では,立冬に冬瓜(とうがん)を食べる風習もあります。
冬瓜は夏が旬の夏野菜なのですが,“冬まで日持ちする”という意味から冬瓜と名付けられたそうです。
温かいお吸い物やあんかけ等に良く合う,身体を温めてくれる野菜で,ビタミンCもたっぷり含まれているので、風邪予防にもいい食材です。
⑵中国の諺に「立冬補冬、補嘴空」(立冬時,栄養を補給)があり,「寒い冬を乗り切る為に,立冬に収穫された旬の食材を季節に合った調理法で食べ,栄養を摂り,体調を整えなさい。それが最良の方法である」という意味です。
(「補」の意味は、食物で体調を補うこと)
なので,中国では立冬は大事な日とされ、滋養のある食べ物を食べる風習があります。
さらに「南方熱補、北方餃子」と言われ,北部では主に水餃子を、南部では鶏肉や魚をこの時期の特別な御馳走として食べるそうです。
台湾では羊(ラム)肉と漢方薬を煮込んだ立冬の料理を食べるそうで,地域によって異なる行事食で英気を養うようです。
餃子の具には,肉や野菜など身体を温める効果のある食べ物がつまっていて,栄養バランスも確かにとても最適で,この時期にピッタリです。
立冬に餃子を食べるようになったのにはいろんな説があります。
㊀耳が落ちると言われた現地の厳しい寒さを、耳の形をした餃子を食べることで寒さを乗り切るためにお祈りしたという風習に基づく説。
㊁餃子(jiǎo zi)の発音は中国語では「交代(jiāo zi)」に似ているため、「季節の交代」という意味で食べられるようになったという説もあります。
⑥立冬の記念日
立冬の頃に定められているいくつかの記念日には、「あられ・おせんべいの日」や「鍋の日」があります。
⑴「あられ・おせんべいの日」…毎年11月7日…1985(昭和60)年に全国米菓工業組合が定めた記念日で、その制定日が立冬の日です。
これは、全国米菓工業組合が『新米の収穫を喜び,米菓の需要拡大と新米で作られた美味しい「あられ・おせんべい」をこたつに入って,家族団欒で楽しんで欲しい』という願いから制定されました。
立冬の頃からスーパーやデパートなどの売り場にもあられやおせんべいが多く陳列されるようになります。
せんべいは、しっかりとした歯ごたえがあるため、あごの筋肉を使用することで、頭の老化防止やリラックス効果があると言われています。
また、よく噛むことで唾液の分泌を促し、胃腸の働きが良くなるそうです。
⑵「いい鍋の日」…11月7日
これは、ヤマキ(株)が「11(いい)7(なべ)」と「立冬」にちなみ、語呂合わせと冬に向かい鍋が美味しくなる季節であることから、11月7日を「いい鍋の日」と2001年に制定したそうです。
ヤマキ(株)は、「鰹節・だし」の専門の会社で、鍋つゆ商品を豊富に取り扱っており、現在は「だし屋の鍋」シリーズを展開しています。
鍋は,様々な野菜や肉、魚介類などの旬の食材を一度に取ることができて,身体の中から温まるので、嬉しいですね。
鍋にもいろんな種類があり、水炊き、キムチ鍋、寄せ鍋、つみれ鍋、ちゃんこ鍋、おでんなどが有名です。
そんな鍋に入れる具材には、下記のようなものがあります。
・カボチャ・大根、白菜・青梗菜・ネギ、エリンギ、鮭・牡蠣・蟹
この中でもイチオシなのが、寒いこの時期に甘くなって,最も美味しい季節になる白菜や大根で、どちらの鍋料理に欠かせない食材です。
風邪等が流行る季節で,ビタミンを上手に摂りたいので、鍋料理で野菜を十分に摂りましょう♪
また,大根は消化の助けにもなります。
混同されがちですが、カボチャを食べると良いと言われているのは冬至です。
⑶鍋と燗(かん)の日
「鍋と燗の日」は、「日本酒がうまい!」推進委員会が『試飲イベントや販売促進活動を通して、冬ならではの鍋料理をお酒と一緒に楽しんで欲しい』という想いから2011年に制定したものとなっています。
「日本酒がうまい!」推進委員会は、京都・大阪・神戸の老舗酒造会社11社によって発足された組織で、現在は「白鶴酒造・日本盛・宝酒造・辰馬本家酒造・大関・月桂冠・菊正宗酒造・黄桜」の8社が活動を行っています。
「燗酒(かんざけ)」とは、温めたお酒のことで、温度によって呼び方が変わります。
飛び切り燗…55~60℃、熱燗…50℃、上(じょう)燗…45℃、ぬる燗…40℃、人肌(ひとはだ)燗…35℃、日向(ひなた)燗…30℃
冷や…20℃前後、涼(すず)冷え…15℃、花冷え…10℃、雪冷え(ゆきびえ)…5℃
日本酒は全てのお酒がお燗に向くわけではなく、大吟醸や生酒などは香りが飛ばないよう常温や冷やがオススメな飲み方となるようです。
※お燗とは、お酒を温めることを言います。
⑷「ココアの日」
これは、森永製菓株式会社が、『冬の飲み物として飲む機会が増えるココアを、より多くの人に味わってもらいたい』と2016年に制定したものです。
毎年、冬の始まりである「立冬頃になると、ココアの食卓出現タイミングが急に増える」という調査結果があるので、立冬の日がココアの日に指定されたそうです。
・主成分のカカオポリフェノールには血糖値の抑制や血流の促進などの様々な健康効果があるそうです。
・リグニン(不溶性食物繊維)が含まれており,「便通を改善する効果がある」と言われています。
・カテキンなど身体に嬉しい成分を多く含む飲み物です。
加えて、森永製菓の研究結果では、「ココアを飲むことでインフルエンザウイルスに対する感染抑制効果が期待できる」ということが明らかにされています。
しかし、砂糖が入っているものは飲み過ぎると肥満の原因になったり、血糖値の上昇を引き起こしてしまう恐れがあるので注意が必要です。
砂糖の入っていないピュアココアを、1日2~3杯飲むと良いと言われています。
⑸「立冬はとんかつの日」
これは、愛知県名古屋市昭和区山花町にある『とんかつ屋 比呂野』が『とんかつを食べて活力をつけ、冬の寒さを乗り切って欲しい』という想いで制定したものとなっています。
夏の「土用の丑の日」にちなみ、「立冬」にはとんかつを食べる習慣を作ってもらいたいと記念日にしたそうです。
ちなみに「とんかつの日」と言われるものは、他にもまだあります。
「10月1日」…冷凍食品メーカーの「味のちぬや」が制定
「10月10日」…東京都食肉事業協同組合が制定
「5月5日」…食肉事業協同組合連合会が制定
⑹ボジョレー・ヌーヴォー
11月の第3木曜日、フランス、ボジョレー地方のその年の葡萄で作られた赤ワインが解禁されます。
ヌー・ヴォー(新酒)は,その年の葡萄の出来を確かめると同時に,秋の収穫を祝う縁起物としての要素もあります。
ヌー・ヴォーと呼ばれるこのワインは,全体に味わいが軽く,香りも穏やかなことから,さっぱりとした飲みやすいワインになります。
値段も手頃で,たくさん飲んでも、翌日に残りにくいとされています。
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