【3】夏の養生法は?
➍その他の夏の食養生
①酸味のある食材を摂取しましょう♪
梅干,柑橘系フルーツ,酢の物,サクランボ等を摂りましょう♪
⑴酸味を多く,苦味を少なくして,腎臓の働きを補い、肝臓の働きを助けましょう♪
・苦味は,夏の主味で,心気に通じますが,「苦味」は「清熱瀉火」の同時に「陰陽を消耗する」ので、加減するべきで,「酸味、鹹味」をお薦めします。
・「心苦緩,急食酸以収之,心欲軟,急食鹹以軟之,用鹹補之,甘瀉之」…酸味は収斂止汗,鹹味は補養心気,つまり,夏は味に気をつけて調味します。
⑵酸味のある食材は,毒素を排出し,必要な水分は保持してくれる役目があり,イライラした気分をスッキリさせるリラックス効果も望めます。
⑶梅干,梅干し入りおむすび,カットフルーツ,酢の物は野菜を中心とした惣菜やマリネ,ビネガードリンク等で補いましょう♪
②食中毒を予防しましょう♪
この時期にかかりやすい【食中毒の予防】のため,腐敗したものはとらないようにしましょう♪
「ニンニク」「タマネギ」「ネギ」「ニラ」等には【殺菌作用】があるので,毎食でも頂きたいものです。
③心臓を大事にしましょう♪
気温の上がる小満の頃から発汗量が増し,その分,血液の流れが滞り,心臓に負担がかかりやすくなります。
夏季全体の養生の中で,【心臓】を特に大事にしなければなりません。
⑴心臓とは?
㈠『医学源流論』には「心は全身の主であり,臓腑などは全て心の命ずるところに従い,ゆえに君主である。心は神を隠し,ゆえに神明の用である」とあります。
㈡漢方医学の文献の中の「心」についての説明は,「血肉の心と神明の心である」と。
㊀血肉の心は…実質的な心臓のことを指し,神明の心は外部の物事を受け入れ,それを反映し,意識,思惟,情・志等の活動を行う機能を指しています。
㊁神明の心は…人体の生命活動を支配する者であり、臓腑の中で最も重要な位置を占め,五臓六腑は全部心の一元的指揮の下にあり、統一して調整する正常な活動を行うものです。
㈢『医学入門』には「血肉の心は,形が未開の蓮の花の如しで,肺の下,肝臓の上にあり,神明の心は,万事、万物を支配し,仮想的で精神的なものである」とあります。
㈣心の生理的機能は血(血液)と脈(血管)を司り,神と志を司ります。
神と志を司るのは,心は神明を司る心臓の神とも言われます。
㊀広義の神は…人の身体全体の生命活動の外在的な表われを指し,それは人の身体のイメージ,顔色,目つき,言葉,応答,身体活動の姿等を含むものです。
㊁狭義の神は…心の司る神と志であり,多くの場合,人の精神,意識、思惟活動等を指します。
神の形成は内臓状態学の中で,精、気は人体を構成し、身体の生命活動を維持する物質的基礎であり,神をつくる物質的基礎でもあると見ています。
㊂神は先天的な精,気から化するものであり,胚胎が形成するその時に,生命の神は生んだ。
人体の生長発育の中で,神は後天の水,穀物の精,気の補充と養生に依存し,「神という者は,水、穀物の精,気である」と。
⑵【心の生理的特性の表われ】とは?
㈠心は陽の臓であって,陽の気を司ります。
つまり,心は陽の中の太陽であり,心の陽気は血液の循環を促し,人の生命の活動を維持し,生命力を止めることがないので,「人の体の『日』である」とたとえられています。
㊀『医学実在易』は,「人と天地の結合だからであり,天に日があり,人も日があり,君,父の陽は,日である」と称しています。
心臓の陽,熱の気は,自らの生理的機能を維持するばかりでなく,そして,全身を温かく養う作用があり,また,心は火の臓であり,万物を明るく照らします。
ゆえに,凡そ脾臓,胃の腐熟,運動,変化は,陽の温暖と上昇及び全身の水・液体の代謝,汗の調節等を知り,いずれも心の陽の重要な作用と分けることはできません。
㈡心と夏の気は通じ合っていて,心の陽が夏季においては最も盛んであり,機能が最も強いことを物語っています。
つまり,人と自然界は統一したトータルなものであり,自然界の四季・陰陽の消長・変化は,人体の五臓の機能と互いに関連し合い,互いに通じ合うものです。
⑶心臓の食養生は?
㈠苦味のあるものを食べましょう♪
中国では昔から,小満の頃には苦味のあるものを食べると良いと言われています。
○食べ物に含まれる苦味には…
・心臓に良い働き
血液中の老廃物を分解して,血液の流れを良くするビタミンやミネラル,酵素,抗酸化物質等が含まれています。
・体内の熱を取り除く働きがあるからです。
○お薦めの苦味のある食材
・野菜…「春菊」「パセリ」「大根菜」「ゴーヤ(苦瓜)」「ウコン」
・野草…「ヨモギ」「フキ」
・穀物…「タカキビ」「ヒエ」「玄米」
・「お茶」「抹茶」
※「抹茶」を小さじ1杯,コップの水にとかして,起床後すぐ飲むと,心臓の機能を強めます。
※熱いお茶を飲みましょう♪
イギリスの専門家の試験では,熱茶は身体に降温能力が冷たい飲み物より上回り,夏の飲料の中で極めて優れたものなのです。
○避けたい苦みのある食べ物は…
心臓に負担をかけるタバコ,ビール,コーヒー等。
㈡赤い色の食材を摂りましょう♪
「トマト」「人参」「梅干」「赤米」「八丁味噌」「アンズ」「クコ」「赤ピーマン」「赤ワイン」等の赤い色の食材は,夏の身体を元気にしてくれます。
○「トマト」は夏にピッタリの食材で,暑がりや高血圧の人に良いです。
㊀涼血作用があり,血を綺麗にし,冷え性や美肌にも効果があります。
㊁抗酸化力のある赤い色素成分:リコピンがたくさん含まれています。
・血管に詰まった汚れを分解し,心臓の働きをサポートします。
・ベータカロチンの2倍の効果があると言われ、シミ,しわ,ダイエット,若返り等に効き目があります。
○「赤ワイン」を夕飯時に,少し飲み,気,血を通じさせましょう♪
○「人参」をおろして,しぼった汁を盃1杯ほど毎朝飲み続けると,慢性の心臓病に有効です。
○「梅干」1個を毎食事に食べるのも、心臓病に効果があります。
㈢玉ねぎを食べましょう♪
㈣血管を柔らかく保ち,きれいな血を心臓に送る働きのある食材を摂りましょう♪
・「キュウリ」「ニンニク」「ニンニクの芽」「ビワ」「桑の実」など
㈤マンガンを多く含む食材を食べましょう♪
【マンガン】は体の組織細胞を強め、心臓の働きを良くします。
「チシャ」「パセリ」「空豆」「インゲン豆」「栗」「クルミ」など。
㈥ビタミンEを摂りましょう♪
※夏の三大危険性(強烈な日照・オゾン疲労)を下げることできます。
㊀「抗酸化作用」(活性酸素を除去する働き)があり,細胞が酸化するのを抑制し,老化対策になります。
そのおかげで,血液中のLDL(悪玉)コレステロールや脂肪の酸化を抑え,血管のしなやかさを保つのに役立ちます。
㊁血管を拡張する作用があり,加えて血行を良くする働きもあり、肩こりや腰痛、冷え性対策になります。
また新陳代謝を促すことにもなり、肌の調子を整えます。
㊂ホルモンの代謝に関与し,ホルモンバランスを整えますので,生殖機能の維持や月経前のイライラ,生理痛,生理不順等の対策に役立ちます。
さらに、女性ホルモンの一つの黄体ホルモンを作っていて,多く摂ると,更年期の不快感を緩和します。
○多く含む食材は…
煎茶,抹茶,緑茶類(玉露)。アーモンド(乾),落花生,銀杏,ピーナッツ,クルミ。モロヘイヤ,カボチャ,赤ピーマン,シソ,ニラ,調製豆乳,唐辛子,小麦胚芽。鮎,ウナギ,銀鱈。ひまわり油。
㈦その他心臓に良い食材
・「昆布」の常食。
・「大豆」の常食。
大豆に含まれるレシチンが血液中のコレステロールを低下して,心臓の機能に好影響を与えるからです。
・「ゴマ」は心臓や血管を強化するレシチンを多量に含み,常食すると,心臓病を防ぎます。
・「蓮根」をおろしてしぼった汁を、盃に1杯ずつ,1日3回飲むと心臓病に著効があります。
・「生キャベツ」をミキサーにかけてジュースにし,コップ1杯分ずつ朝夕飲むと,心臓病に効果があります。
ホウレン草,ピーマン,小松菜,ミツ葉,シソの葉,カブの葉,アスパラガス,ゴボウ,大根,サツマイモ,山芋,黒豆,豆モヤシ,納豆。酢。椎茸,松茸。リンゴ,ブドウ,レモン,ミカン。ひじき,若布,かき貝。酢卵。
㈧心臓が不調になる食べ物の原因について
㊀白砂糖㊁カロリー㊂動物性脂肪㊃酸性食品のとり過ぎ。
㊄酒類の過飲。㊅ビタミンB類,E,C,カルシウムの欠乏。
❺冬病夏治(トウビョウカジ)
夏の暑さは悪いことばかりでなく,【冬病夏治】といって,中医学では冬に悪くなるような慢性病や冷え等の陽気不足が原因の病気は,夏の養生によって,陽気を養っておけば,好転すると考えられています。
心にとって夏場は,自然界の太陽の輝きと相伴い,たっぷりと陽気を養うので,心は自然と上向いていきます。
その気は上昇の方向なので,この時期に陽気を養っておけば,冬がやってきた時に,腎陽が尽きることもなく,慢性病や冷えの症状は緩和されます。
特に慢性気管支炎や喘息は改善が顕著に現れるので,気温が高く陽気が盛んな夏は,これらの症状で悩む方々は,陽気を充実させて,抵抗力を高めるのに最適な季節と言えます。
❻まとめ
このように,夏の旺盛な陽気に応ずることが養生の道です。
★養生は、日頃の心がけで大きな効果が現れます。
今年の夏は一層の養生を心がけて、これまでの夏の過ごし方に一工夫加えて、より快適に乗り切りましょう!
皆様の毎日が穏やかで、健やかで、豊かでありますように☆☆
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★【中医学の陰陽の変化】
【中医学の夏という季節の基礎】となっているのは【陰陽思想】です。
自然界はすべてが互いに影響を及ぼし合いながら存在していて、その基礎となっているのが、あらゆるものは陰と陽の関係性の上に存在しているという考え方です。
私たち人間も,絶えず自然環境の影響を受けながら,体内の陰陽のバランスは常に変化しているので,健康であるため,病気から快復するためには,こうした周囲の環境にも配慮しなければなりません。
24節気によって季節の陰陽の状態を知ることは,中国医学にとっても非常に重要なことだったのです。
1年を陰陽の変化として見ると…
①春「立春」~「立夏」=陽気が次第に盛んになって,陰気は衰えていく。
②夏:「立夏」~「立秋」=陽気が極になって衰え始め,陰気は次第に盛り返し始める。
③秋「立秋」~「立冬」=陰気が次第に盛んになって,陽気は衰えていく。
④冬:「立冬」~「立春」=陰気が極になって衰え始め,陽気は次第に盛り返し始める。
となります。
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感謝すべきことしか、起きていない。
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