【5】【小暑の養生法】
❶太陽は黄経105度に有り、梅雨が明ける頃とされ、気温はすでに高いが、まだ、最高に暑い所(=大暑)に到達していないため小暑といいます。
この時期はなんといっても「無理をしない」の一言につきます。なぜなら、三伏と土用が重なる季節だからです。
陰陽五行説では、小暑に至る頃は“熱在三伏”(夏の酷暑の期間を表す)の初伏(夏至以後、三度目の庚の日)の前後です。
※三伏(さんぷく)とは…暑さの勢いがたいへん盛んで、秋の気を伏する(潜伏させる)という意味です。この期間は夏至を境に冬至に向けて陰気、つまり涼しくなろうとするのですが、それまでの陽気に抑えられ、蔵伏しているので暑く感じるのです。庚(かのえ)は「金の兄」で金は火に伏せられること(火剋金)から、火性の最も盛んな夏の時期の庚の日は凶であるとします。夏の間の3回の庚の日を初伏(しょふく)・中伏(ちゅうふく)・末伏(まっぷく)には「種まき・療養・遠行(旅行)・婚姻・房事(性交)」は慎むべき日とされています。庚の日は陰陽五行論で金にあたり、肺、大腸をケアすると効果が出やすいとされています。なので、肺の裏側、背中にお灸をするとアトピー、喘息、カゼなどが改善されやすい日とされています。毎年、秋から冬にかけて不調がでやすい人は、この期間にケアしておくと症状が緩和されるといわれています。
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そのため、気温が一気に上がる時期でもあり、体力が追いつかず、体調を崩しやすい(=夏バテになりやすい)ので、注意が必要です。
※夏バテとは…体温変化や食べ物の変化に体がついていけず、疲れてしまった状態です。
体温・血液成分濃度・体内水分量・血圧・心拍数など、人間が健康に生きていくための条件は個人的な差があるとは言え、正常値は決まっています。
原因は様々ですが、その正常値から離れると、体の恒常性と言い、体は多くの機能を駆使して元に戻そうとします。
例えば、冷房の効きすぎる部屋や炎天下に長時間いると、体は体温を正常値に戻すために機能を駆使します。
又、冷たい物ばかり食べて、体が冷えてきた時も同じで、水分の摂り過ぎも体液が薄まりますと、体から余分な水分を排出するために体の機能が働きます。
更には、睡眠不足や簡単な食事で済ませる事などすべて、あるべき姿から離れてしまった生活が普段以上に機能を使う事になり、徐々に体そのものが弱ってきます。
「体は疲れました。少し休ませて下さい!」のサインが夏バテです。
夏バテは私達の心がけで予防することが可能なので、夏バテにならないようにする養生こそが大切です。
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気(エネルギー)を補って、体力を付けておくことと、熱がこもらないように発散させることも必要です。
適度な運動をして汗をかき熱を発散させることで、熱がこもるのを防ぐこともできます。
暑さにより、大量の汗をかき、気と津液の消耗が激しく、バランスが崩れやすくなります。体内に熱が溜まりやすくなり、冷たい物を取りがちです。
胃腸が冷えると、気が作られず体力が落ちてしまうので、冷たいものの摂り過ぎには注意しましょう。
漢方の養生訓には”以熱治熱”(熱をもって熱を治める)という教えがあり、暑さは温かいもので制すという考えです。
そして、冷房などで体の冷やしすぎに注意しましょう。
心臓・脳・血管に病気のある人は、室内の換気をしっかりとして、蒸し暑い天気の中では、エアコンなどを使わずに、体温を下げるように注意しましょう。
一方、南方では台風が発生しやすくなっていて、暴雨の多い季節で、降雨量が集中するため、水害対策はとりわけ重要です。
芒種の頃から始まった長丁場の梅雨は約3分の2が終わって、残すは約3分の1となり、ほぼこの節気の期間と一致します。ジメジメ感、蒸し暑さともにピークに達します。
「蒸し暑い」というのは、「湿邪」と「暑邪」がくっついたモノで、「陰」の邪気:「湿邪」は、「陰」を補ってくれればいいものの、「重濁性」と「粘滞性」の性質を持つので、汗が出るのを邪魔するので、汗を上手にかけずに、体温調節ができず、熱中症になります。
また、八卦でみれば、小暑は「坤地」になります。坤卦は、小暑→大暑→立秋→処暑→白露の期間が当てはまります。
坤卦は「土」ですので、内臓で言えば「脾胃」が当てはまり、蒸し暑い日本の気候では、③やはりこの時期に胃腸障害、消化不良、食中毒なんかもよくおこります。
ですから、この時期はことさら「胃腸を調えましょう」と考え、それにあった養生法が推奨されてきました。
また、②「暑さ」は「心臓」と関連がありますので、心臓病の方も、そうでない方も、くれぐれも「心は静かに穏やかに」を心がけましょう。東洋医学は、特に「平」であることを良しとし、どんな気候、環境、状況であっても、常に「平静」でいられれば心身は健康だ・・・という考え方です。
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身体の陽気が一番旺盛な時期なので、「春夏養陽」という言葉がありますが、過労にならないよう注意して、陽気を守りましょう。
①「湿」「熱」が小暑の特徴で、【皮膚の病気】になりやすい時期なので、十分な予防を心がけましょう!
☆【日光(紫外線)皮膚炎】…「風毒病」と言われ、夏になりやすい皮膚病の一つで、繰り返し発症し、ひどい場合は、夏の間ずっと続く方もいらっしゃいます。
この病気は主に日光(紫外線)アレルギーで、夏の強い日差しを浴びることで、紫外線に対して過剰反応が起こり、皮膚炎をおこします。
普通日焼けをしてから数時間後から3、4日後までに、日に当たった場所、腕、鼻、手の甲、顔、肩などに最初は赤いブツブツ、その後水ぶくれになり、強烈に痒くなります。
中医学では「先天の気」の不足によって、皮膚や毛穴が空虚になり、暴飲暴食などで「湿邪」が体内にこもって「熱邪」となり、日光の「熱邪」を受けることにより、内からの原因と外からの原因が一致することにより「風毒病」になると考えられています。
⑴日焼け止めには注意しましょう!
日光(紫外線)皮膚炎の予防としては、日焼け止めを塗ることが一般的ですが、紫外線にはUVA、UVB、UVCの3種類があります。日光(紫外線)皮膚炎の原因はUVBですので、これを防ぐ日焼け止めはSPFという数値で表されます。
日焼け止めには、いろいろな副作用がありますので、それ以外にできる対策から始めましょう。
⑵長時間外で太陽を浴びないようにしましょう!。・・・特に10時~15時まではできるだけ、外に出ないようにしましょう。
これ以外の時間に出かける時にも、日傘や帽子で日光をさえぎり、薄手の長袖の上着をはおるようにしましょう。
日焼けしてしまったら、冷たい水で冷やして下さい。冷たい濡れタオルなどでヒリヒリする部分をそっと押さえて、暖かくなったら冷たいタオルに交換して下さい。
ビニール袋に氷と水を入れたものをタオルでくるんで冷やすのも有効ですが、かならずタオルなどで包み直接肌に当てないようにしましょう。
皮膚の炎症だけではなく、熱中症や脱水症状、高熱が出たりすることがありますが、こういった症状はすぐに病院での治療が必要です。
⑶「清熱」の効果があるきゅうり、豆腐、トマト、苦瓜、真菰ダケ、メロン、りんごなどの摂取をを心がけましょう!。
⑷シミ・ソバカス…夏の強い紫外線で、皮膚や露出した部分が損相することです。
㈠紫外線アレルギーの人以外にも、年齢や体質にかかわらず、外で作業したり海へ行ったり、長時間強い日差しに当たると、日焼けしてします。一般的には、数時間から十数時間後、皮膚が熱を持ったようになり、痒くなり、ヒリヒリした痛みになって、赤くはれて、皮がむけてきますと、色素が沈着してシミやソバカスとなることもあります。
㈡シミやソバカスは「瘀血(おけつ)」、つまり、血の流れが悪くなっている状態の時にできてやすくなってしまいます。
特に夏の時期は、エアコンやクーラーの効きすぎなどで、「寒邪」に侵される(体が冷える)ことがあり、そうなると、【瘀血】になりやすくなります。
瘀血とは「あらゆる慢性病の原因」であり、「器官組織の変性の原因」であると言えると思います。
夏に「寒邪」が体に入ってしまうと、他の季節に比べて追い出すことが難しいと言われますので、クーラーや扇風機、寝る時の服装などに注意して、汗ばむ程度の軽い運動や、シャワーではなく湯船にゆっくりつかって汗を流して「寒邪」の侵入を防ぎましょう。
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②⑴この季節になると、気候が非常に暑く、イライラして落ち着かず、疲れて、力が入らなくなりますので、自身を保養し、鍛錬する時期です。
この保養と鍛錬の際には、我々は五臓が時を主とし、夏は心を主とすることにより、【心(臓)】の陽を養い、心を平静(心静)に保ち、気持を落ち着け、心臓の機能を旺盛に保ちましょう。
これは「春、夏は陽を養う」という原則に合致させるためです。(「春、夏は陽を養う」:春夏は陽が上昇、秋冬は陰が生じます。自然界では、春は生じ、夏は成長し、秋は収穫し、冬は蔵します。人体においても、春生、夏長、秋収、冬蔵(春に生じ、夏に成長し、秋に収め、冬に蔵する)という規則に従わなければなりません。)
漢方の養生では「平」を主張します。つまり、いかなる状況の下でも、過激な感情をもたないことです。例えば、喜びすぎれば悲しむことになり、悲しむならば、動悸と精神不振(気持ちがたるんで、精神が集中できず、精神的非常におかしい状態)となります。
夏は五行でいうと「火」にあたり 臓腑では【心(臓)】は五臓六腑の大きな主であり、すべての生命の機能はみな五臓の機能の集中的表われであり、このすべてはまた心に支配され、「【心(臓)】が動けば、五臓六腑が全て揺れる」という言い方がありますが、【「心は神明を主る」(=精神の働きを統括する)】 と考えられていて、その充実は精神や情緒を安定させ、思考能力を活発にします。なので、心臓と精神が損なわれると、それが密接にその他の臓腑に関連します。(心は心臓機能と神志を司ります。)
一方で、情、志の面で、「喜は心の志」という考え方もあり、「喜」という刺激を適度に与え、気持ちをノビノビさせて気、血を和らがせることになり、心の充実を図ることも可能です。
※筋肉には感情が宿りますので、身体を動かすことで、感情を解放してあげましょう。
この時期の養生の重要ポイントは、「心静」で、心を平静に保ち、少しでも気分よく過ごせるよう工夫しながら、夏季を乗り切りましょう!
⑵食養:心臓編…この季節は、昼の長さはまだまだとても長く、それによって活動時間も長くなり、夏:心の季節ということもあって、心臓の働きは活発になり、人の体は、夏:心の季節に十分に対応していきます。昼間がとても長いので、その分活動量が増え、心臓も長時間働かされます。よって、エネルギー代謝をスムーズにしてあげる必要があります。
㈠芒種の頃から旬となっているタマネギが心臓にとって実に望ましい食品です。
タマネギにはこれといった栄養価はないものの、特有の刺激臭「硫化アリル」がビタミンB1を活性化させ、これによってエネルギー産生回路を円滑に回し、スタミナ食になります。
㈡「五味」では「心」が求めるのは、「苦味」です。
漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は〈主:苦味、従:辛味、添:甘味〉の三味の組み合わせが最適なので、料理は、この三味を頭に置いて行ないましょう。
この頃から旬となるのが、苦味食材の代表のゴーヤです。ゴーヤ料理をたくさん食べましょう。なお、ゴーヤの苦味が苦手な方は、味噌料理とすれば、かなり苦味を隠せます。
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③この時期は消化器官の病気が多発する時期なので、食養生の面では、飲食の量・清潔・好き嫌いなどの分野で、悪習があれば、変えましょう。
⑴飲食は適量を心がけましょう。
㈠食べ過ぎると…脾臓、胃の消化、吸収、運動変化の機能を上回ることになり、飲食の滞りをもたらし、胃、腹のもたれと胃酸、食に飽き、吐く、下痢をするなど、脾臓、胃を傷つける病気になります。
㈡食事の絶対量が少なすぎると…物を十分に食べることができず、変化の源が不足し、気、血の不足を招き、体の疲れとやつれをもたらし、正気が虚弱となり、抵抗力が小さくなり、その他の病状を引き起こすことになります。
⑵飲食が清潔でないと、多種多様な胃腸の疾病を引き起こす元になります。
細菌性下痢、赤痢、寄生虫などの病気は、変質した有毒の食物を食べることにより、食中毒を招き、腹痛、吐く、下痢をすることになり、ひどい場合は意識不明になるか、あるいは、死亡することさえあります。
また、夏は消化器疾患が発生する季節なので、飲食不節・飲食不潔・嗜好の偏りの悪習慣を改め、飲食調養を心がけましょう。
⑶飲食の好き嫌いは栄養不良の原因の1つであり、飲食の調節が適切であって初めて、人体に必要な栄養が保証できます。
好き嫌いとは、㈠冷たすぎたり、㈡熱すぎたりし、㈢五味(各種の味覚)の好き嫌いがある、ということです。
㈠生もの、冷たいもの、寒いもの、涼しいものを多く食べるなら、脾臓、胃の陽気を傷つけることになり、寒、湿気が体内に発生して、腹痛、下痢になります。
㈡偏食は辛、温、のぼせ、熱、胃、腸に熱をうっ積させることになり、ノドが渇き、腹が膨れて痛みを感じ、便秘となり、ついには痔になります。
㈢人の精神・気・血は五味から誘発され、また、五味は五臓に対応します。例えば酸は肝臓に入り、苦みは心に入り、甘は脾臓に入り、塩辛いものは腎臓に入ります。
五味の好き嫌いは(長期にわたってある種の食物を好むならば)、臓腑の機能を盛んにし過ぎたり、衰え過ぎるようになり、歳月の流れとともに内臓を傷つけることになり、病気になります。
・塩辛いものを偏食すれば、血管の流れを止め、顔色は血色を失うことになる。
・苦味を多く食べれば、皮膚が乾燥し、毛髪が抜けることになります。
・辛い味を多く食べれば、筋肉・脈を縮めさせて、爪、甲がカサカサになります。
・酸味を多く食べれば、皮膚と筋肉が堅くなり、厚くなり、縮むことになり、口、唇が薄くなり、巻き上がります。
・甘い味のものを多く食べれば、骨格に痛みを覚え、髪の毛が抜けやすくなります。
重要なことは、嗜好が偏りすぎると、栄養不良を招くばかりでなく、脾臓、胃とその他の臓腑を傷つけることになり、脚気、夜盲症、腫れ物ができるなどの病気を招きます。
そのため、食養生の中で、飲食の五味(酸、苦、甘、辛、塩辛い)は適宜にすべきであり、普段偏食せず、病気の時には飲食の禁忌を重んじることをお奨めします。
食べすぎるならば、蓄えて集め、ノドが渇いて飲みすぎるならば、痰が多くなり、人は非常に飢えるか、ノドが渇いた際に、最も飲み過ぎ、食べ過ぎ、暴飲暴食しやすくなります。
そのため、飢えと渇きで耐え難くなった場合、ゆっくりと食事をとるべきであり、その他に食欲がない状況の下で、いやいやながら食事をし、無理に食べてはないけません。
梁代の医学者陶弘景は『養性延命録』の中で「ノドが渇いていないのに無理に飲めば、胃が膨れ、飢えていないのに無理に食べれば脾臓が疲れる」と指摘しています。
上記は飲食の⑴節度さ⑵清潔さ⑶豊かさの重要性を物語っています。
④顔のたるみや深くなる豊齢線の予防をしましょう。…土用(各季節の変わり目の時期)が近づくことで、夏の疲れが肌肉に現れやすい時です。
梅雨の湿気が体の中に残るため、むくみや水の滞りによってめまいやだるさを覚えます。顔は敏感な部位ですから、ポンポンと指先でたたいて刺激するだけで、効果はでてきます。顔の表情をいろいろと変えたり、指を口の中に入れてマッサージしてもよいでしょう。
⑤この時期は筋力が低下しやすくなるので、梅雨開けには散歩などがおすすめです。迫ってくる猛暑の前に、スポーツやトレーニングを行ってしっかり筋力を保つべきです。
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❷この季節の養生ポイントは、「胃腸を整えて、冷えを撃退!」です。
高温多湿のこの時期、体に溜まった水分は消化機能に影響を及ぼします。食欲不振、消化不良に注意が必要です。
余分な水分を取りすぎないことが消化機能を整え、様々な症状を防ぐことにつながります。
また女性に多い冷房病は、体力のない人ほどなりやすいと言われていますので、温性の食べ物を摂って、体力を補い、冷えを撃退しましょう。
正しい養生法を実行して、体から「湿邪」「暑(熱)邪」を追い出しましょう。
本格的な暑さが始まり、湿もまだまだ旺盛な時期なので、体から「湿邪」「暑(熱)邪」を追い出すのに絶好の時期です。
「湿熱」の代表的な疾患は、糖尿病・高脂血症・高血圧症・慢性関節リウマチ・胆石や腎結石・心筋梗塞・動脈硬化症・脳卒中・神経症・うつ病などです。
正しい養生法を実行して、体から「湿邪」「暑(熱)邪」を追い出しましょう。
①熱いタオルで全身を拭きましょう!…顔や体に汗を大量にかきますが、汗を拭いて皮膚の通気性を高めることは大事ですが、この時暖かいおしぼりやタオルで汗を拭きましょう。
冷たいおしぼりやタオルで汗を拭くと、自律神経が混乱して体温が正常に戻るまで時間がかかったり、うまく機能しなくなります。
②風呂では、湯船につかりましょう!…夏に冷たいシャワーをあびると毛穴が収縮して熱を放出することができなくなり、シャワーを浴びる前より暑くなりますが、湯船につかると毛穴が開き汗が出て、自然のリズムに合った体温調節ができます。
③足湯をしましょう!…足は第二の心臓とも呼ばれ、足には全身の代表的な五臓六腑のツボがあり、中国では「寝る前に足を洗うと、薬を飲んだのと同じ効果がある」と言われています。
夏の足湯は「湿熱」を追い出すのに、とても有効で、足湯している間は暑いですが、終わった後はさっぱりと心地よく感じます。
④熱いお茶を飲みましょう!…冷たい飲み物は一瞬の冷たさで、それは長くは持ちません。それだけでなく、「湿邪」や「寒邪」が侵入しやすい状態を作り、長い不調になる可能性もあります。特に、中高年層の方、夕方以降は控えましょう。暑いお茶を飲むと、毛細血管が広がって体温は下がります。
⑤気温は高いですが、「陽気」を逃がさないようにしましょう!…「春夏養陽」といいますが、「陽気」人のエネルギーで季節や時間によっても変化し、一定の波を持っています。夏は「陽気」が旺盛で外に向かっていますが、汗をかき過ぎると、「陽気」が失われてしまいますので、夏の炎天下で活動した後は水分やエネルギーを十分補給しましょう。
⑥睡眠を十分にとりましょう!…立夏の後から北半球の日光の照射時間が長くなり、気温も高くなり睡眠時間が減少しがちなので、特に睡眠障害のある人は十分注意しましょう。
夏は「早寝早起き」が季節に合った生活サイクルです。早い時間では眠れないという方は、お昼寝で睡眠不足を調整するのもいいでしょう。
★昼が長くなり、汗をかいて、体力を使うので、【お昼寝】をお勧めします。夏の暑さから身を守り,疲れを癒やしてくれます。
暑さで血管が拡張されると、大脳の血流が少なくなり、神経細胞の栄養が減少して疲労しやすくなるので、昼寝は脳神経細胞を保護して、熱中症を予防する意味でもお勧めです。
⑦夏の暑さを厭うことなく、屋外に出て朝日に向かって運動し、体内の老廃物を適時に排泄して、新鮮な空気を吸い込み、体内の新陳代謝を促進させ、身体を鍛え,充分な日光浴を心がけるべきです。
⑧汗をかいた後は努めて、身体を守るようにしましょう!…江戸時代、貝原益軒が著した養生訓によれば「夏は気が盛んに発生し、汗が出て人の皮膚を大いに開くために、外邪が侵入しやすい。涼風に長くあたってはいけない。入浴した後で、風にあたってはいけない。」と記されています。
汗が出た後、風に当たると、寒邪が侵入して、風邪や関節の痛みなどの疾病を患いやすくなります。
外邪は病邪とも表現されることがあり、昔は鼻粘膜からウイルスが入ってインフルエンザが発病するという発想はなく、病邪は体の表面から内側に入り込むと考えられていることから、汗をかいた後は体を冷やしすぎてはいけないと言われています。
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❸【食べ物での養生】
小暑のお勧めの食材です。
①熱や湿気を取る性質のある食べ物を摂りましょう!…蒸し暑いからと言って冷たいものを多く食べ過ぎると、脾臓や胃の陽気を損ない、湿気が体内に発生してしまう。
・「西瓜」…90%以上は水分でできていて、子供達の水分補給にうってつけです。(果物はカロリーがあるので、糖尿病の人や肥満の人の水分補給はお茶にしましょう。) カリウムやシトルリンは、利尿を促進して腎臓の機能を助けるので、むくみ、高血圧、二日酔いを改善する効果があります。赤い色素のリコピンは、強い抗酸化作用があり、癌や老化を予防します。
冷飲過多(冷たい物の飲みすぎ)だとお腹を下すので、胃腸の負担を考えて、適量にしましょう。
豆類や冬瓜・苦瓜・キュウリなどの瓜類、ハトムギや山芋は湿気を取るので、むくみやすい方にはお勧めです。
・「生姜」…血行や新陳代謝を良くして、発汗、利尿を促進。消化を助け、食欲を亢進させます。
その他、「豆もやし」「ゆば」「緑豆」「小豆」「空豆」「トマト」「赤身の牛肉」「ネギ」「穀物酢」など…利水と解熱作用がありますので、暑気払いに良いわけです。
②夏バテ防止
・「蜆(シジミ)」…昔から「土用のシジミは腹ぐすり」といわれ,夏バテを防いでくれます。 シジミは、「生きた肝臓薬」とも言われています。必須アミノ酸の一種であるメチオニン、タウリン、ロイシンは、肝機能を高めます。鉄分やビタミンB12は、貧血を予防してくれます。ビタミンB2は発育を促します。亜鉛は味覚障害の予防効果があります。またカルシウムも豊富です。 シジミの味噌汁は、出汁いらずで嬉しい一汁です。
・「鰻(ウナギ)」…夏の土用には、昔から鰻と決まっていますが、鰻はこの時期には万能な食材です。気を養う作用があるので、元気のない時や体力の落ちている時に最適です。(実はこれは江戸時代に平賀源内が商売に困った鰻屋を助けるために仕掛けたイベントだと言われています。)
・「サムゲタン(ネギ、ニンニクは肺に良い)」…韓国では、精力のあるものを食べる時は好んで食されています。
・「鮎」…春に清流を遡上して,七夕の頃に成魚となります。実りの秋に卵を産み人生を終えます。 鮎は,香り豊かな身とともに,内蔵のほろ苦さが味わいの魅力の一つです。「香魚」とも「川魚の王」とも言われます。魚の下処理がいらないので簡単に一品できあがります。暑さに疲れた人にはもってこいの食材です。
カルシウムやビタミンDが豊富で、骨や歯を丈夫にし、精神を安定させます。
ビタミンAは、皮膚や粘膜、目の健康に働きます。養殖アユには、不飽和脂肪酸のEPA・DHAが多く、コレステロール値を下げ、血液をサラサラにします。特にDHAは、脳の記憶力・学習能力を高めてくれます。老化の進行を抑制し、生殖機能を高める働きをするビタミンEが、魚類中では最も多く含まれているのも嬉しい。内臓には、蛋白質の合成、炭水化物や脂質の代謝を促すビタミンB群も豊富です。
・気を補うためには、鶏肉、米、長芋、とうもろこし、カボチャなどがお奨めです。
③「お味噌汁」…「脱水症状の予防」にお奨めです。
きちんと昆布などで出汁をとり、キャベツや小松菜などの葉もの野菜をたくさん入れたお味噌汁にすると、カリウムも摂取でき、ミネラルと水分の補給になります。
夏バテ予防に、長芋を入れてもおいしいです♪胃腸にも血管にも優しく水分補給ができます。
④すでに体力が落ち、疲労してしまっている場合は、消化に負担をかけてしまう脂の多い鰻は逆効果になります。鰻は元気になったら、食べるようにしましょう。
小暑の節気は雨も比較的多く、蒸し暑く、うだって、食欲がなくなったり、体力が落ちたりします。こういう時は、生ものや冷たい物を避け、暖かく柔らかい食事を多めに摂ることが重要です。
それには「お粥」が一番です。カゼをひいた時に食べるのは、消化期間を休めて、体力の回復を早くするためです。
【おすすめレシピ】…㈠「ハト麦と緑豆のお粥」
材料:緑豆 30g、ユリ根 30g、ハト麦 30g、うるち米 5g、氷砂糖 適量
作り方:上記の材料を洗って鍋に入れ、軟らかくなるまで煮ます。氷砂糖を加え、温かくして食べます。
効能:緑豆は解熱、解毒、ユリ根は肺・津液を潤し、ハト麦は熱を冷まし湿を体外に出します。うるち米は胃をやわらげ、共に食すことで熱を冷まし湿を体外に出し、脾を健やかにして、胃をやわらげます。
㈡荷葉、土茯苓、ふじ豆、ハトムギ、チョレイマイタケ、サジオモダカ、キワタノキなどをとろ火で煮たスープやお粥に、砂糖または塩を加えて口当たりをよくすれば良いです。
⑤肉体労働者や室外で仕事をする方は、この時水分を多めに摂り、少量の*仁丹を服用したり、または緑豆のスープ(暑気払いのスープ)を飲んで暑気あたりを防ぎしょう。
(*仁丹・・・口中清涼剤として暑気あたりの効果があるとされる。)
飲食の注意:飲食物はあっさりしたものを中心に、野菜は葉物、キュウリ、苦瓜、果物であればスイカがよいでしょう。辛い物、油っこいものは避けましょう。
⑥この時期の旬食材は…
・魚のカレイ…身が肥えてほどよく脂がのった白身は刺身がお奨めです。煮付けは冬の子持ちが美味しいです☆
・穴子…旬は臭みがなく、白焼きがふわふわして美味です。
・桃…甘くやさしい香りで食欲がそそります。果物は涼性が多い中、核果類(桃、すもも、梅など)は温性なのです。冷房による冷えにや冷たい物の取りすぎが気になる時でもお奨めです。
・ニンニク…この時期のニンニクは水々しさたっぷりで、臭みも和らいでいるので、素焼きにしてシンプルに食べても美味しいです☆
・シソ…健胃整腸作用があり、独特な香りが食欲を増進させます。
・松の実…良質の植物性たんぱく質やビタミンEを多く含み、食欲や便通を促進します。
他にも、茄子、トマト、南瓜、ゴーヤ、枝豆、とうもろこしなど、旬の食材はいっぱいあります。
⑦<お茶>
【麦茶】…胃を丈夫にし、消化不良に有効です。冷たい麦茶が定番ですが、胃腸が疲れている時には温かいものを飲みましょう。
【カモミール茶】…不眠やストレスに有効なハーブですが、健胃作用、発汗、冷え症の改善にも良いといわれています
【枇杷(ビワ)の葉茶)…抗癌効果のあるアミグダリンやタンニン,脂肪を溶かすサポニンを含み,咳止めや去痰,利尿促進効果のほか,暑気あたりや食欲増進,滋養強壮にもよいとされています。
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❹【小暑の献立レシピ】
①緑豆(リョクズ)のもやしの炒め物
[その他の材料] 新鮮な緑豆のモヤシ500g、サンショウちょっぴり、植物油、白酢、塩、調味料適量
[作り方]モヤシをきれいに洗って水をきって乾かし、油の入った鍋が熱くなってから、サンショウを鍋の中に入れ、香りが出ると、モヤシを鍋の中に入れて数回炒め、白酢を入れて数分間炒め、鍋から取り出す時に、塩、調味料を加えてお皿に盛り付ければよい。
[効能]熱を下げて病毒をなくし、できもの、はれ物を治す。
②湯葉の油炒め
[その他の材料]湯葉2枚、植物油、塩、ネギ、化学調味料それぞれ適量。
[作り方]湯葉を千切りにし、ネギをきれいに洗って千切りにする。油の入ったナベが熱くなるまで火を通し、ネギの千切りをナベの中に入れ、香りが出ると、湯葉の千切りをナベの中に入れて炒め、それから塩を加えて数分間炒めてから、化学調味料をいれ、ゴマ油をたらしてよく混ぜてナベから取り出す。
[効能] 虚を補い、汗をとる。汗が多く、自然発汗、寝汗をかく方の食用に適する。
③グルテンの煮込み 『随息居飲食譜』より
[その他の材料] 水でといたグルテン500グラム、ネギ、ショウガ、塩、カタクリ粉、植物油、化学調味料を適量
[作り方] 水でといたグルテンを薄切りにし、ネギ、ショウガをきれいに洗って千切りにして必要に備える。ナベが熱くなるまで火を通し、グルテンをナベの中に入れ、黄色になるまで炒め、ネギ、ショウガを入れて数分間炒めて、水を1碗入れ、塩を入れ、グルテンがよく熟してから、化学調味料を入れて、さらにカタクリ粉であんかけをし、スープが透き通っていればよい。
[効能] 解熱し、気分をすっきりさせ、渇きをいやす。
④ソラマメと牛肉の煮込み
[その他の材料] 新鮮なソラマメあるいは水で煮てもどしたソラマメ200グラム、脂身でない牛肉250グラム、塩ちょっぴり、化学調味料、ゴマ油を適量
[作り方] 牛肉を小さな塊にきざんで、先に水の入ったナベの中で少しさっと煮て、すくい取って水をきり、土ナベの中に適量の水を入れて、水が熱くなると牛肉をナベの中に入れ、熟するまで煮込んで、ソラマメをナベの中に入れ、煮沸してから塩を入れてとろ火で肉、豆をよく熟するまで煮込み、化学調味料、ゴマ油を入れてナベから取り出せばよい。
[効能] 内臓を丈夫にし、湿気除けとなり、虚を補い体を丈夫にする。
⑤スイカとトマトのスープ
[その他の材料] スイカ半分、トマト3個(ちょうどよい大きさのもの)
[作り方] スイカの皮を切り取り、トマトにお湯をかけてから、皮をむいて実を取り除く。この二つのものは同時に汁を絞って、2つの液体を合わせ、適量を飲む。
[効能] 熱を下げ、唾液の分泌を促し、渇きをいやす。夏のかぜ、ノドの渇き、体がすっきりしない、食欲不振、消化不良、小便が濃くて熱のある方に特に適している。
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❺【美容・スキンケア】
①【グァバ茶の美白効果】
人間の皮膚は紫外線を浴びることによって、チロシナーゼによって皮膚のメラノ細胞のチロシンが分解され、メラニンの合成が誘導されます。
グァバ葉に含まれるポリフェノールにはチロシナーゼを阻害してメラニン生成を抑制する作用があり、色素が抑制されることで美白効果を得ることができます。
では、グァバ葉のチロシナーゼを阻害作用とはどういうものなのでしょうか?
皮膚のシミ、黒ずみはメラニン色素の沈着が原因と言われます。 皮膚が紫外線を浴びると、皮膚にあるメラノ細胞ではチロシナーゼ酵素によってチロシンが分解され、メラミン合成を誘導します。グァバ葉のポリフェノールにはこのチロシナーゼの働きを妨げる作用があります。
実験では、UV-Bを照射したモルモットにグァバ葉ポリフェノールを経口投与した結果、モルモット表皮のドーパ陽性細胞数が低下という結果も出ています。つまり、グァバ葉ポリフェノールを摂取することで日焼け防止の可能性があるというわけです。
②【月桃】
【美容・スキンケア】に…月桃はアンチエイジングに役立つとしてスキンケアにも取り入れられ、近年人気が上昇しています。抗酸化作用だけではなく保湿・収れん作用にも優れていることから、肌をキュッと引き締めて潤いを維持してくれる効果も期待出来るでしょう。抗酸化・収れん・保湿の3つの効果から、シミやシワ防止や乾燥肌・脂性肌両方のケアに利用出来ます。
加えて抗炎症作用や殺菌作用も期待出来ることから日焼け後のお肌のケアや、ニキビ・あせも・かぶれなどの肌トラブルの予防・改善にも役立つと考えられています。
【殺菌・防虫剤として】…月桃は沖縄では古くから防カビや虫除けに利用されてきた歴史を持ち、近年の研究でも1.8シネオールやβ-ピネン、カンフェン、テルピネン-4-オールなど様々な精油成分の複合効果で消臭・防虫・防カビ・抗菌に役立つことが認められています。
近年は消臭剤や防虫・防カビ剤などに月桃精油を配合したものが販売され、化学薬品を使わない安全な製品として多くの方に支持されているようです。ハーブや精油を使って自作する場合はペパーミントやレモンなどとブレンドすると良いでしょう。
1.つらい咳に…気管支炎や鼻炎、風邪のつらい咳などに、痰(たん)を外に出しやすくしてくれる効果があります。
2.アンチエイジング効果…抗酸化物質のポリフェノールがとても多く含まれているので、生活習慣病やアレルギー、そしてお肌の美白やしわなどのアンチエイジングに効果を発揮してくれます。
3.血圧や血糖値を下げてくれる…ゲットウに含まれる「リノール酸」という成分が、脂肪を燃えやすくし、その結果血圧や血糖値を下げてくれます。
4.抗菌効果…沖縄では、とても身近な植物として人々に使われていて、葉の部分は高い抗菌効果があり食品を保存する時にとても役立つと言われています。
5.ガン抑制にも赤ワインより多く含まれるポリフェノールが、ガンの抑制に効くと言われています。
③<お風呂>ラベンダー風呂:殺菌効果があり、デオドラント効果が期待できます
それでは、皆様、小暑を味わいつつ、体をいたわって、お過ごし下さいませ。
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