【3】【夏至の旬(しゅん)のもの】
❶【夏至の旬の食材】
①【野菜】
⑴トマト,ピーマン,パプリカ,【オクラ】,モロヘイヤ,高原キャベツ,
ハマヂシャ,クウシンサイ(空芯菜),おかのり(陸海苔),おかひじき,
【ミョウガ(茗荷)】,大葉,アオジソ(青紫蘇),【アカジソ(赤紫蘇)】,
三つ葉,サラダ菜、しろ菜(大阪しろな),ツルナ(蔓菜),つるむらさき,
唐辛子,シシトウ(獅子唐),青山椒,じゅんさい,スウィートコーン
⑵主に茎を食べる野菜…アスパラガス、はす芋、ズイキ(芋茎)、ルバーブ、フェンネル/フィノッキオ、コールラビ
⑶鞘豆類…サヤインゲン,空豆,枝豆,キヌサヤ(絹さや)エンドウ,
スナップエンドウ,エンドウ,グリーンピース,千石豆(フジマメ)、
⑷果実野菜…ゴーヤー(にがうり),ズッキーニ,キュウリ,茄子(なす)
白瓜(しろうり)
⑸山菜…赤みず(ウワバミソウ),根曲がり竹(姫竹),ハチク(淡竹)
⑹根菜…玉葱(ネギ),ニンニク,ラッキョウ,新生姜,ビーツ,新ごぼう
○【オクラ】…7月頃に旬を迎えます。
古代エジプトでも栽培されており、歴史のある野菜ですが、
日本に入ってきたのは明治になってからのようです。
市場に出回るようになったのは,昭和50年代からといわれています。
沖縄などで栽培される20㎝以上もある島オクラや
赤い色をした紅オクラなどの種類があります。
ネバネバ成分が胃腸の粘膜に潤いを与えて,消化を高め、
便秘の改善や美肌,疲労回復効果があり、
主な栄養素はカロテン,ビタミンB群,ペクチン,ムチン等です。
南国の野菜として,九州や沖縄で多く生産されており、
サラダや炒め物、天ぷら、素焼き、煮物などに用います。
○【シソ】…料理の脇役になりがちですが、ビタミンA(カロテン),
ビタミンB群,カルシウム,カリウム,食物繊維等の栄養素が
豊富で,シソ特有の香りは食欲増進の作用があります。
他にも胃を整える作用や食中毒を防ぐ効果もあり,暑さで
食欲がなくなりがちな夏にうってつけの食材といえるでしょう。
○【ミョウガ】…
6月頃が旬で、香りが食欲を増進させ、消化を促進します。
解毒,殺菌作用があるので,刺身等と一緒に食べると良いでしょう。
独特の香りはアルファピネンで,発汗作用や血行を良くする働き
があるので,冷え性や生理痛などに効くと言われています。
ミョウガの生産量は、高知県が全国の80%近くも占めており、
ハウス栽培で通年出荷されています。
昔から「ミョウガを食べると物忘れをする」といわれてきましたが、そんなことはなく、安心して食べてよさそうです。
○【苦瓜(ゴーヤ)】…沖縄料理でおなじみの夏野菜です。
6月~9月に収穫され,店頭に並びますが、
近年エコ対策にグリーンカーテンとして植えて、
ゴーヤチャンプルなどの料理に使っている家庭も増えました。
ゴーヤは、夏のほてりを沈める作用があり、
苦みには解毒作用やデトックス効果があります。
苦みの成分はモモルデシンといい、肝機能の強化や
胃液の分泌増進、血糖値の降下作用があります。
熱中症対策や夏バテ予防には、やはり沖縄の産地でもある
パイナップルと共にジュースにして飲むと良いと言われています。
②【果物】…【イチジク(無花果)】,スイカ(西瓜),メロン,マンゴー,
ビワ(枇杷) ,キウイ,【夏ミカン】,ウメ(梅),すもも,アンズ(杏子),
ヤマモモ,グミの実,桑の実(マルベリー)、ブルーベリー,
サクランボ,月山錦(黄色いサクランボ),アメリカンチェリー,
ドリアン,パイナップル,ライチ、マンゴスチン,バナナ,イチゴ
○【イチジク(無花果)】…不老長寿の果実と言われ、
とても栄養価が高い果物です。暑さで体力を奪われていく、
これからの時季に相応しい果物です。
○【夏ミカン】…「夏橙(だいだい)」とも呼ばれ,それが,明治時代に
商人達が売れるようにわかりやすく,ということで
「夏ミカン」に変更し,それが定着していったそうです。
初夏を代表する日本原産の柑橘類の一つで、
レモンに似た爽やかな香りが特徴です。
江戸時代に,山口県に流れ着いたものの実を育てたのが最初で,
今も山口県では庭に植えている家が多いようです。
秋の暮れには色づき始めますが、酸味がとても強く、食用には
適していませんが、春先になると酸味が弱まりますので、
食べ頃になり、初夏にはおいしく食べることができます。
酸っぱさとさわやかさが特徴の夏ミカンの主な栄養素は、
クエン酸,ペクチン,シネフィリン,ビタミンCなどです。
夏ミカンは疲労回復,整腸作用,風邪防止等の効果が期待できます。
選ぶ時は,全体が濃い黄色で頭のヘタの部分が緑色をしていて,
ずっしりと重いものを求め,保存する時は空気にさらさず,
冷暗所に置きましょう♪
無農薬のものが手に入ったら、皮を砂糖で煮て,
ママレードにすると、おやつにおいしく頂くことができます。
③【魚介類】
⑴魚…スズキ(鱸),イサキ(伊佐木/鶏魚),【ハモ(鱧)】,
マアジ(真鯵),シマアジ(縞鯵),キス(鱚),サバ(鯖),サワラ(鰆),
キス(鱚),カツオ(鰹),トビウオ(飛魚),マコガレイ,カンパチ
カマス(魳,梭子魚,梭魚,魣) ,イシダイ,イシガキダイ,マイワシ,
シンコ(コノシロ),マゴチ,シマイサキ,アカイサキ(赤伊佐木),
キジハタ,アカハタ,アイゴ(藍子),シログチ(子持ち),
ヒメダイ(姫鯛:別名:オゴダイ,クルキンマチ,チビキ)
アイナメ(鮎並・鮎魚女・愛魚女・相嘗,別名:アブラメ,アブラコ,
モミダネウシナイ,ネウ),
【アユ(鮎)】,マス(鱒),カワハギ,穴子(アナゴ),ウナギ(鰻)
⑵貝類…ホタテ貝,バイ,トリガイ(鳥貝),
オオアサリ(ウチムラサキ),ウニ(海胆),ホヤ,サザエ,アワビ
⑶【タコ】,イカ,ジンドウイカ(ヒイカ),ケンサキイカ(子持ち)、
⑷エビやカニ…ガザミ類(雄),ウチワエビ(団扇海老)、
シラエビ(シロエビ)
○【アユ(鮎)】…清流に住み、、香魚(こうぎょ)とも呼ばれ、
香りが良いことで有名です。
川と海を回遊する魚ですが、滋賀県の琵琶湖に生息する鮎は、
湖を海代わりとしています。
この琵琶湖産の幼魚は全国各地の河川で放流されています。
鮎は初夏に解禁となり、
11月~5月は資源保護のため釣ることが禁止になっています。
市場に出回るのは6月頃ですが、黄色みを帯びて、
腹にハリがあるものを選びましょう。
鮎は夏の疲れを取り,体力の回復やむくみの解消効果があります。
主な栄養素は,カルシウム,蛋白質,ビタミンA,B12,D,E等で,
塩焼き、から揚げ、甘露煮などにして食べるとよいでしょう。
○【ハモ(鱧)】…関西では京都の祇園祭の御馳走
といった,メージです。 7月16,17日の祇園祭は,
料理屋さんや家庭でもハモ料理が並びますが、
同じ7月24、25日の大阪の天神祭りでもハモ料理がメインです。
「ハモは梅雨の時期がおいしい」と言われていますが、
6月~7月半ば頃までが一番おいしい時期です。
骨切りしたハモを熱湯にくぐらせ、氷水で締めて,梅肉をそえて
食べたり、碗だねやてんぷら、ハモすきなどにして食べます。
湿度の高い季節に起こりがちなだるさやむくみを解消する作用
があると言われています。
○【カンパチ】…春から夏にかけて日本列島を北へ上り、
冬から春に南へ下る回遊魚です。
また、成長によって名前が変わる出世魚で、
関東では35㎝以下をシヨッコ、60㎝までをシオゴ、
80㎝までをアカハナ、それ以上をカンパチと呼びます。
関西では60㎝までをシオと呼び,それ以上をカンパチと呼びます。
ブリよりも暖かい海域に多く生息し、西日本での漁獲が多く、
主に刺身として食べられることが多いようですが、
煮魚や焼き魚にしても美味しいです。
中性脂肪やコレステロールを下げるDHAやEPAを豊富に含む
ので、旬の時期には是非とも食べたい魚です。
○【タコ】…大阪では、昔から7月2日の半夏生の日には
タコを食べる習慣がありました。
関西の「たこ焼き」で知られるように、日本では比較的
よくタコを食べますが、宗教上,タコを食べない国もあります。
日本の主な産地は,兵庫県,福岡県,岡山県等で、兵庫県明石は
タコの名産地ですが,芭蕉は1688年の夏に,須磨と明石を訪れ、「蛸壺や はかなき夢を 夏の月」と詠んでいます。
タコには気や血を補い,体力をつけて疲労を回復する働きがあり,亜鉛,タウリン,蛋白質,鉄,銅,ナイアシン,ビタミンB2等を含みます。
調理方法は、刺身、煮物、たこ飯、酢の物、ゆでだこなどです。
❷夏至の旬の草花
夏至の純白:【ドクダミ(蕺草)】,アジサイ(紫陽花),【朝顔】,
【ヒメユリ(姫百合)】ササユリ(笹百合,ヤマユリ),【スイカズラ】,
あやめ,半化粧,ネジバナ,キキョウ,オミナエシ,シモツケ,
アベリア,ヤマハギ
【姫百合】…夏の季節に鮮やかな橙色のくっきりとした六花弁を
咲かせるユリ科の多年草です。原産地は日本と朝鮮半島。
日本では主に西日本に自生していますが、
鹿の食害によって自生のヒメユリは減少を続けています。
又,鮮やかな花を楽しむ為に,栽培・育種の対象になっています。
○【スイカズラ】…
初夏に白い花を咲かせるスイカズラは「吸葛」と書きますが、
「子供達が花の蜜を吸って遊んだ」ことが由来と言われています。
別名を忍冬とも言いますが,寒い冬を耐え忍ぶ姿を現わしています。
野山にも多く、甘い香りがあたり一面を覆います。
左右対称の楕円形の葉の間から白い花を咲かせますが、
徐々に黄色くなっていきます。
スイカズラは乾燥させて煎じ、漢方薬としてにも利用されており、
利尿作用や食中毒、夏バテにも効くと言われています。
この花や葉を漬けた「忍冬酒」は不老長寿の酒として
徳川家康が愛飲したそうです。
○夏の野草【ドクダミ】は…十薬(じゅうやく)ともいい、
万能薬として民間療法に用いられてきました。
日陰のやや湿った所に生息し、可憐な白い花を咲かせます。
ところが、この4枚の花びらと見えるのは実はガクのようなもので、花は中心部のシベなのです。
独特の臭いを持ちますが、この成分はデカノイルアセトアルデヒドと
いい,肺炎球菌や黄色ブドウ球菌,白癬菌等を抑える力がある
と言われています。
他にも利尿作用や血圧降下作用のあるクエルシトリンや
血液をサラサラにするイソクエシトリンを含んでいます。
ドクダミの効能は数多く、吹き出物やむくみ,便秘の解消,
冷え性の改善,糖尿病や動脈硬化の予防にもなるようです。
主な成分は…カリウム,カルシウム,マグネシウム,鉄,マンガン,
亜鉛などです。
全草をよく乾かしてお茶にして飲むと様々な効能が得られますが,腎臓に障害のある人はカリウムが排出されにくいため,
飲用は控えた方が良いようです。
奈良時代に中国から伝わり、朝顔は七夕の頃に咲くことから、
昔は「牽牛花」といっていました。
日本で大ブームになったのは江戸時代ですが、
今も東京では7月に朝顔市や朝顔展が催されています。
「朝顔や つるべとられて もらひ水」(加賀千代女)の句は有名ですが,シンプルな形や薄紫や薄青のポピュラーな色だけでなく、
最近では様々な形や色の朝顔が開発され、
ツルのないものや宿根性のものもあります。
朝顔は日当たりを好むので、グリーンカーテンとして利用すると、夏の直射日光が家に差し込むのを防ぐことができます。
❸【夏至の鳥】…カッコウ、キビタキ
❹【夏至の虫】…アゲハチョウ
【5】夏至の頃のことば
⑴【早乙女】…田植えのシーズンです。
老いも若きも一斉に田植えをしますが、
中でも一際華やぎを演出しているのが少女や若い女性達で、
彼女達を特別に言い表したのが「早乙女」という言葉です。
若い男性の視線を集めて,心ときめかした田植えの場は、
秋の収穫のお祭りと並んで、
今でいう合コンと同じだったのかもしれません。
⑵【時候の挨拶】
⑴6月下旬はまだ梅雨の地域が多いですね。
梅雨の地域で使える時候の挨拶は、
6月中旬に引き続き「長雨」「梅雨」、
年や地域によっては「空梅雨」という言葉が
最もよく使われる言葉です。
梅雨の晴れ間に、日に日に暑さを感じるなら…「向暑」「初夏」
逆に雨続きで、気温が上がらないと感じるなら…
「梅雨寒」「梅雨冷え」
このように、季節に合わせて言葉を使い分けることができます。
二十四節気の「夏至」や短い夜を表す「短夜」、そして「父の日」といった言葉も時候の挨拶として、季節を表す言葉です。
⑵7月上旬と言えば,待ちに待った梅雨明けです。
「梅雨明け」というのはそのまま時候の挨拶に使うことができ、
7月上旬では最も一般的な言葉です。
⑶その他にもイベントとして7月7日の「七夕」やそれにちなんだ
「天の川」といった言葉も季節感が現れていますね。
⑷その年や地域によって違いますが、
気候や気温の体感を言葉にすることもできます。
㈠7月上旬ですと,日ごとに暑くなる意味の「向暑」は
6月に引き続き使いやすいです。
㈡梅雨明けが早かった場合は7月中旬以降によく使われる
「猛暑」「盛夏」も使えます。
㈢また、二十四節気の「小暑」というのも7月7日頃を指します。
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一年に一度の昼が長い夏至の日は、いつもより少し早起きして,
より昼の長さを味わうのもいいかもしれません。
太陽を意識して過ごす日なんてないと思うので、
新鮮な日でもあります。
太陽が与えてくれる力は
私達が生きる上でとても大切なものなので,
ヨーロッパで祝日でお祝いをするというのもよくわかる気がします。
夏至の日は太陽のパワーを感じ取って、
太陽に感謝して過ごしましょう♪
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