☆❶日本の秋の代表的な風物詩
【中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)】は【10月1日(木)】です。
東京:月の出の時刻:17時28分、
南中時刻(最も月が高く昇る時間):23時26分、
月の入りの時刻:4時37分(国立天文台より)
[天保暦(旧暦)の8月15日の夜の月のこと]を言います。
(旧暦の暦月の日数は29日か30日のいずれかですから、
15日は暦月の真ん中の日と考えることができます。)
②「仲秋の名月」という表現もありますが,
これだと「旧暦8月の月」を指し,十五夜の月に限定されなくなり,
秋を初秋(旧暦7月),仲秋(同8月),晩秋(同9月)の3つに
区分した場合,旧暦8月全体を指します。
それに対して「中秋」とは
「秋の中日」=旧暦8月15日のみを指します。
③加えて,中秋の夜に雲などで月が隠れて見えないことを「無月
(むげつ)」,中秋の晩に雨が降ることを「雨月(うげつ)」と呼び,
月が見えないながらも,なんとなくほの明るい風情を賞するもの
とされ,「望(ぼう)」は満月を指します。
④俳諧では8月14-15日,16-17日の夜をそれぞれ「待宵(まつよい)」,
「十六夜」と称して、名月の前後の月を愛でます。
※【十六夜(いざよい)】…16日目は、
月が出てくるのをいざよう(ためらっている)ようだから。
この月は日没とともに東の空に昇り,明け方には西の空に沈みます。
これ以降は月の出が約50分ずつ遅くなっていきます。
⑤旧暦8月15日は、日本の六曜で必ず仏滅になることから,
俗に「仏滅名月」とも呼ばれます。
⑥英語圏では同時期の満月を表す表現として
「Harvest Moon」や「Hunter's moon」があります。
☆❷【中秋の名月を愛でる風習】
①【中秋の名月を愛でる習慣】は…
平安時代に中国から伝わったと言われています。
平安時代頃から貴族等の間で観月の宴や舟遊び
(直接月を見るのではなく,船等に乗り,水面に揺れる月を楽しむ)
で歌を詠み,宴を催しました。
また、平安貴族らは月を直接見ることをせず、
杯や池にそれを映して楽しんだと云います。
②現代では、月が見える場所などに,薄(ススキ)を飾って,
月見団子・里芋・枝豆・栗等のお供え物(=お月見料理)を盛り,
御酒を供えて、月を眺めます。
⑴さらに,秋の七草(ススキ・オミナエシ・ナデシコ・クズ・フジバカマ・
キキョウ・ハギ)や秋桜など,季節の草花で彩りましょう♪
⑵「収穫の季節に豊作を感謝する」という意味あいが生まれ,
その時期に穫れた野菜などもお供えするようにもなりました。
⑶月見団子の供える数には2つの説があります。
ⅰ【満月の数⇒12個(平年、閏年:13個)】
その年に出た満月の数を供えます。
ⅱ【十五夜⇒15個】…十五夜だから15個(十三夜には13個)。
15個の並べ方は、下から9個,4個,2個となります。
⑷【薄は神様の依り代】と考えられており,稲穂が実る前なので,
稲穂に見立てた薄が選ばれたと云われ,
神様への収穫感謝を表明しています。
また,薄の鋭い切り口が魔除けになるとされ,
お月見の後,軒先に吊るしておく風習も見られます。
⑸このように,お月見の由来は…
ⅰ「最も美しく見える季節に月を鑑賞する」という意味と,
ⅱ「神様への豊作祈願や収穫の感謝を表す」
という意味合いもあります。
③この時期収穫されたばかりの[里芋を供える]ことから,
十五夜の月を特に【芋名月】と呼ぶ地方もあります。
④沖縄ではふちゃぎ(吹上餅)を作って供えています。
⑤仏教寺院では,豊作を祈る満月法会を催す所もあります。
⑥この他にも戦前から昭和中期にかけて(所によって今日でも),
子供達が近隣の各家に供えてある月見団子や栗・柿・枝豆・
芋・菓子類をその家人に見つからないように盗って回り,その年
の収穫を皆で祈る(祝う)「お月見泥棒」という風習もありました
(家人は子供たちの行いを見つけても見ない素振りをしました)。
☆❸【中秋の名月と満月の日付が
なぜずれるのでしょうか?】
「[中秋の名月]には美しい月が見られ、その月は満月である」
と思われている方が多いと思いますが、
今年は、[10月1日(木)]が[中秋の名月]で,
その翌日の[10月2日(金)6時6分]が[牡羊座の満月]と
中秋の名月と満月の日付が1日ずれています。実は,
中秋の名月と満月の日付がずれることは,しばしば起こります。
では、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
月は地球のまわりを公転しながら,[約29.5日の周期で満ち欠け]
を繰り返していますが,月の公転軌道が完全な円形ではなく,
[少しつぶれた楕円形]をしているために,月は,この周期の半分の[14.75日]で必ず満月になるわけではありません。
月が地球に近い位置にある時には公転のスピードが速く,反対に,月が地球から遠い位置にある時には公転のスピードが遅くなる為,新月~満月までにかかる日数は
[13.9日~15.6日]と大きく変化します。
上記の理由により,中秋の名月と満月の日付がずれることが起こりますが,中秋の日の夜の澄んだ秋空に昇る満月前後の丸い月
は,とても明るく見ごたえがあります。
今年の中秋の名月も,満月と遜色のない美しい月を
楽しむことができます。
☆❹【その他のお月見】
①【九月十三夜】…今年の十三夜は、[10月29日(木)]で…
日本独自の風習と言われています。
⑴旧暦の9月13日の夜を「十三夜」と呼び、
日本ではその夜にもお月見をする習慣があります。
⑵十三夜は、「後(のち)の月」,または,
ちょうど食べ頃の大豆(枝豆)や栗などを供えることから,
「豆名月」「栗名月」とも呼ばれています。
⑶江戸時代の遊里では,十五夜と十三夜の両方を祝い,
どちらか片方の月見しかしない客は「片月見」または「片見月」で
縁起が悪いと遊女らに嫌われました。
二度目の通いを確実に行なう為に,十五夜に有力な客を誘う
(相手はどうしても十三夜にも来なければならない為)
風習がありました。
⑷旧暦の閏月で閏8月または閏9月が挿入される場合に1年で
十五夜または十三夜が二度現れることがあり,二度目については
それぞれ「後の十五夜」,「後の十三夜」と呼ばれていました。
「後の十三夜」は2014年11月5日に171年ぶりに出現しています。
②【十月十夜】
旧暦10月10日の月は「十日夜(とおかんや)の月」と呼ばれ,
「中秋の名月」と「後の月」に対しては「三の月」ともいい,
この夜にみる月がその年の収獲の終わりを告げるとされました。
③【その他の夜】
天候次第で月を見られない場合もあるので,
地方によっては,【月待ち】という風習があり,
【十七夜以降】を【立待月,居待月,寝待月,更待月】と言います。
※【立待月(たちまちづき)】…17日目は,さらに月の出が遅くなり,
「まだか、まだか」と立って待つから。
※【居待月(いまちづき)】…
18日目は,待ちくたびれて,座ってしまうので。
※【寝待月(ねまちづき)】…19日目は,もう床に入って待つから。
※【更待月(さらまちづき)】…20日目は,夜も更ける頃なので。
※【有明月(ありあけづき)】…26日目は,夜明け(有明)の空に昇るから。
「有明月」は16日目以降の月の総称でもあります。
[二十三夜待ち]までを行う地域が多くを占めましたが,
[二十六夜待ち]まで行う地域があり,
「月光に阿弥陀仏・観音・勢至の三尊が現れる」という
口実を付けて、月が昇る(深夜2時頃)まで遊興に耽けました。
この風習は明治時代に入ると急速に廃れていったとされています。
参照①https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E8%A6%8B
参照②https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2017/10-topics02.html
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