【1】自然と一体になって暮らす
「祈り」の生活をしましょう♪
❶私は日本という国に生まれて本当に良かったと思っています。
なぜなら、春には梅や桜などの花々が咲き、
夏には透き通るような海で泳いだり、
秋には燃えるような紅葉が山々を飾り、
冬には一面銀世界になるような雪景色…
このように四季のバランスがあり、
四季折々に花や風景、食の楽しみがあり、
その四季折々にみせる自然がとても素晴らしいからです。
私達日本人は、それらの天からの素晴らしい頂きもの
(プレゼント)に本当に感謝しなければいけないと思います。
本当に有難いことです。
日本の【神道】は「神の道」と書きますが、古代、日本には
神社という形はなく、人々は身の回りにある自然(山、海、土、
岩、木、花…)そのものを神として厚く敬ってきました。
命あるものすべてを敬い、慈しむのが、
本来の日本古来の神道であり、【祈りの心】です。
日本には八百万（やおよろず）の神様がいらっしゃるというのは、
水の神様,木の神様等,すべてに神様の名前があるからです。
なので,山に登る時は,
「登らせて頂きます」と山の神様にお供えをして,手を合わせ、
漁に出る時も,海の神様にお供えをして,手を合わせていたそうです。
古の日本人は自然を神として敬い、四季の巡りに順応し、
常に自然と対話しながら暮らしていました。
宇宙の流れや四季の流れに逆らわず、自然を慈しみ、
自然と一体になって暮らす日本人の生活そのものが「祈り」であり,
古の人々にとって「祈り」という行為は決して特別なものではなく、日常的な普通のことだったと思います。
私達、現代人も、古の日本人(といっても、50年位前まではそういう生活が少しは残っていたと思いますが…)のように、日常生活を、今この瞬間を、宇宙の流れや四季の流れに乗り、
常に自然と対話しながら、自然を慈しみ、
自然と一体になって暮らす「祈り」の生活をしていきましょう♪
□私達日本人の先人達は,月を眺め,そして,太陽の動きを見て,
農作業を行い、季節(≒自然)の流れに寄り沿って、暮らし,
身体を整え、楽しんで,生きてきました。
よく、外国の方から「日本人は四季を大切にしていて素晴らしい」と言われることがありますが、昔の人は春夏秋冬だけではなく、
季節を細分化して感じていたのだとわかります。
先人達は,自分の身体(=小宇宙)を知り,季節を知り,
自然(=宇宙)を知り,そして,日々の生活を楽しく暮らしてきました。
それが目的なのではなく、それが養生そのものなのです。
(養生の意味：生活に留意して健康の増進を図ること。)
先人達の日常の暮らし、そのものがそのまま養生でもあり、
祈り(スピリチュアル)の生活なのだと思います。
先人達のように、自然の流れに沿って、古来から伝わる年中行事や日本の風土に沿った暮らしを生活のリズムとして取り入れ、
健やかに美しく生きる生活を始めてみましょう♪
そして、日本の豊かな四季を二十四節気や、七十二候を参考に、季節の旬を「嬉し、楽し」で、楽しんでいきましょう♪
❷「二十四節気」とは？
日本は、上記のように、四季の移り変わりが鮮やかな国です。
春夏秋冬で表される四季ですが、日本にはさらに細かく季節を
分類(1年を24等分に)した【二十四節気（せっき）】
というものがあります。
「二十四節気」とは、1年(太陽が見掛け上の通り道の分点である（春分・秋分）と至点（夏至・冬至）から出て再び戻ってくるまでの
日数)を24等分して,約15日ごとに分け,その分割点となる日に
季節を表すのにふさわしい春夏秋冬等の名称を付けたものです。
1年を12の「節気」と12の「中気」に分類し、
1ヵ月の前半を「節」、後半を「中」と言います。
古代中国で使われていた太陰暦は、
太陽の位置と無関係であったため、
暦と気候との間にズレが生じて農耕等の営みに不適切でした。
そこで、季節と一致させるため、太陽の運行を元にした
「二十四節気」が考案されたのが始まりです。
(※二十四節気は、太陽の動きが基本となっていますから、
中国発祥の暦ですが、実は西洋占星術の暦にも対応していて、
太陽が春分点を通過する瞬間から牡羊座がスタートするのですが,
二十四節気の中気の入り日が12星座の始まりに対応しています。)
現代では、季節の移り変わりを表す言葉として用いられ、
身近に感じられるのが「夏至」と「冬至」ですが、
立春は「暦の上では春ですが、まだ風も冷たく」など
時候の挨拶に使われることもあります。
立春から始まる二十四節気は、
雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、
そして、夏至は二十四節気の10番目となっています。
また、二十四節気は太陽の見かけ上の通り道を15度ずつ、
二十四分割したもので、春分点を起点(0度)とし、45度が立夏で、その次の60度が小満,75度が芒種,90度が夏至,
105度が今回の【小暑】です。
【2】大暑（たいしょ）…二十四節気の第12番目。
大暑は、夏の季節で最後の節気になります。
六月中（通常旧暦6月内）。
7月22日(水)17時37分は二十四節気の【大暑】です。
※西洋占星術の獅子座入りの時刻です。
❶大暑とは？
①現在広まっている【定気法】では…
【太陽黄経：120度】の時で、7月23日頃(2020年は7月22日)。
暦ではそれが起こる日ですが、天文学ではその瞬間とします。
②【恒気法】では…冬至から7/12年（約213.06日）後で7月23日頃。
③【期間】としての意味もあり、7月23日頃（今年は7月22日）に始まり,
次の節気：立秋の前日8月7日頃（今年は8月6日）までの期間です。
④【前後の節気】⑾小暑→⑿大暑→⒀立秋 小暑から数えて15日目頃
❷季節…「快晴が続き、気温が上がり続ける頃」で…
①⑴梅雨明けの直後の最も夏らしく暑い時期で、
いよいよ本格的な夏の到来です。
梅雨明け後の10日間は「梅雨明け十日」と言われ、
一年で最も暑さが厳しくなる頃です。
快晴が続き、ジリジリとした太陽の日差しは強くて、肌を焼き、
気温がどんどん上がり続ける頃です。
モクモクとした入道雲が青空に浮かんで、
時々激しい雷を鳴らして人を怖がらせます。
セミの声があちらこちらで響き渡り、
夜は寝苦しい熱帯夜になる日もあります。
子供達にとっては、待ちに待った夏休みが始まります。
⑵「暑」とは「炎熱」の意味で,「大暑」は「炎熱の時期」という意味で,中国語では「暑い」という意味には「暑」ではなく
「熱」という字を当てます。
大暑の季節はちょうど「三伏(さんぷく)」のうちの「中伏」、
一年で最も暑い日です。
「三伏」とは夏の酷暑の時期を言い,「初伏」「中伏」「末伏」があり,夏至の後の第3の庚(かのえ)の日を「初伏(7/16)」と言い、
第4の庚の日を「中伏(7/26)」、
立秋後の第1の庚の日を「末伏(8/15)」と言います。
⑶大暑とは暦の上では最も暑い時期という意味ですが、
実際の暑さのピークはもう少し後になります。
実際に一年で最も暑い日となるのは、太陽が最も高く上がる
夏至（6/21）を越えた1～2ヵ月後(8/2～9)とされ,
大暑の期間を越えて立秋になってから、さらに猛暑となります。
⑷「中暑」とは…中国語で熱中症のことを「中暑」と言い、
「暑さに当たる」という意味です。
気温が35度になると「中暑」になる人が増え、
37度を超えると「中暑」になる人は急激に増えると言われます。
⑸立秋(8/7)の前にあたるこの時期は［夏の土用の期間中］でも
あり,夏の土用は大暑の数日前から始まり,大暑の間中続きます。
夏バテ防止にウナギを食べる「土用の丑の日」もこの頃です。
↓◎夏土用7/19～8/6 大きな変化はやめ,動かないで,運気を蓄えましょう♪
https://ameblo.jp/skmhirai/entry-12609339118.html
⑹海や川の水辺での遊びは楽しく,冷たいものがおいしい時期
ですが、夏バテをしないよう気をつけてお過ごし下さい。
⑺暑さをしのぐ上で冷房は欠かせないものですが、除湿をするとあまり冷房温度を低くしなくても,体感的に涼しく感じられます。
熱中症を防ぐ上でも冷房はかかせませんが、屋外の気温と屋内の気温差が大きすぎると,体調を崩す原因にもなるので、
湿度を上手に調整することで暑さをしのぎましょう♪
⑻8月7日から二十四節気は「立秋」となり、
まだまだ暑い頃ですが、暦の上では早くも秋の始まりです。
⑼大寒とは互いに半年後・半年前で,小寒と小暑も同じ関係です。
②［大暑の意味］は…暦の本では下記のように定義されます。
⑴歓喜宝暦 神霊館 榎本書店
「暑気甚だしく対処と言われる。腐草化為蛍土潤溽暑大雨時行
(ふそうかしてけいとなりどじゅんじょくしたいうときにおこなう)。
腐った草が篤さに群れて蛍となり土は潤いしめり
時々にわか雨が降ると言われている。
「腐草化為蛍土潤溽暑大雨時行」と言うのは,
大暑の七十二候で,それぞれ分けた候に季節の中で
起きる変化で名前を付けたものです。
こちらは中国の七十二候ですので、
日本の気候で起こる事とずれるものもあります。
⑵江戸時代に太玄斎（常陸宍戸藩の第5代藩主松平頼救(よりすけ)）
が1787年に出版された暦についての解説書「暦便覧」では…
「暑気(しょき)いたりつまりたるゆえん(時節)なればなり」
と記されています。
解り易くすると、「夏の暑さが極まる季節だから【大暑】である」
という意味です。
このことからも、大暑には快晴が続き、
気温が上がり続ける頃という意味であったことがわかります。
③小暑の頃から知人、友人、日頃お世話になっている方々に、
【暑中見舞い】を出し始めます。
【暑中見舞い】とは…お盆の前に贈り物を持って直接訪問した
名残りで,訪問するかわりに挨拶状を出すようになったのが
始まりだと云われています。
・出す時期は、小暑あるいは大暑～立秋の前日迄で、
⑴「正式には大暑からという説」
⑵「夏土用の間に出す説」
⑶梅雨明けを以てするとする説ももあり、
この期間であっても梅雨の間は控え、
梅雨明けした後に出すのがよいでしょう。
日付は書かず「〇〇年 盛夏」「〇〇年〇月」とします。
・「暑中」とは二十四節気の大暑と小暑という”暑”がつく時期を
意味し、暦の上で一番暑い時期とされていますが、
小暑と大暑の約一ヶ月間が暑中です。
そのため、小暑から暑中見舞いは送ってもいいですが、
大暑の期間中に届くように送りましょう♪
次の節気：立秋に入ってしまうと、「残暑見舞い」の期間となりますので、ウッカリ！のないように、注意しましょう♪
また、夏の土用の18日間を暑中という場合もあります。
夏の土用とは、小暑から13日目の20日頃(20・07・19)～
立秋の前日8月7日頃(20・08・06)までのことです。
・終了時期は立秋で、それ以降は残暑見舞いになります。
★➌【七十二候（しちじゅうにこう）】…
大暑の期間の七十二候は以下の通りです。
日本の気候で大暑を5日事に分け,
その時の自然の姿を表現した七十二候は次のようになります。
日本…桐の花が実をつけ,土から発散される熱気は蒸し暑く,
にわか雨が時々猛烈に降り出す季節です。
①[初候]…［第34候］…［7/22頃～27頃］…
桐始結花（きり はじめて はなをむすぶ）…
桐の花が咲く時期で、桐の実が生り始める（日本）
⑴桐は初夏に薄紫色の花を咲かせ、盛夏を迎える頃、
卵形の実を結び、長さ3cm程の実の中には翼のある種子が
たくさん入っており、風に乗って飛散します。
桐の樹高は10m以上と大きく、花も高い場所に咲くため、
目にする機会は少ないです。
⑵桐は古来より伝統的に、神聖で高貴な木とされ、
家紋や紋章の意匠に取り入れられてきました。
桐紋は、花の数によって「五七の桐」と「五三の桐」があります。
足利尊氏や豊臣秀吉などの天下人もこれを天皇から賜り、
用いたので、政権担当者の紋章という認識が広がり、
現代では内閣総理大臣の紋章に起用されています。
天皇家の家紋でもあり、
身近な所では500円硬貨でも使われています。
また、伝説の鳥「鳳凰」がとまり,住む樹であり、
古代中国では幸運の樹とも言われていたようです。
他にも農耕生活に豊穣をもたらすとされ,大切に扱われていました。
⑶日本国内で取れる木材としては最も軽い桐は,高級木材として
筆や家具、箪笥(たんす)などに用いられています。
昔は、女の子の嫁入り道具の1つになっていて、
女の子が生まれると桐の木を植えて、
嫁ぐ時にはその桐の木で箪笥を作るという風習もありました。
桐は防湿性や防虫効果、耐火性に優れた木材なので、
大切なものや着物を桐箱や桐箪笥にしまっておきました。
⑷腐草為蛍（ふそう ほたると なる）…腐った草が蒸れ蛍となる（中国）
この「腐草蛍と為る」は日本では「芒種」の次候（6月中旬）で
使われています。
ホタルには水生と陸生があり、
陸生のホタルは枯草に産卵し,大暑の時にそこで孵化するので,
古代の中国人は腐草からホタルが生まれると思ったのです。
大暑の初候は7月末、芒種の次候は6月中旬、
どちらもホタルが飛ぶ時期です。
②[次候]…［第35候］…［7/28頃～8/1頃］…
土潤溽暑（つち うるおいて むしあつし〈じょくしょす〉）…
土が湿って蒸暑くなる(土中の水分まで蒸発して蒸し暑くなる)頃（日本・中国）
熱気がまとわりつく蒸し暑い時期で、
この時期は緑が深くなる時期だと言われています。
私達は、この暑さを打ち水などでしのぐことしかできませんが、
木や草花は緑をますます濃くして、夏を歓楽しているようです。⑴「草熱（くさいき）れ」とは,夏の強い日差しに照らされた草むらが
高温多湿になり,ムワッとした熱気を放つことで,
「草の息」とも呼ばれます。
夏の暑い日に感じる草の匂い,炎天下でもたくましく生い茂る
草の息吹を感じる日本らしい表現です。
⑵また,土が強い陽気を受け,熱を発することや
熱そのものを「土熱(つちいき)れ」といいますが、
まさにこの時期の蒸し暑さを体現している言葉といえます。
⑶じっとりと蒸し暑いことを表す「溽暑 (じょくしょ)」は、
陰暦6月の異称にもなっています。
⑷湿り気をおびたこの時期の気分を和らげてくれるのが鮮やかな
色合いの花々（サルスベリ,芙蓉,カンナ,夾竹桃,昼顔,むくげ,
ゼニアオイ,クチナシ,松葉ボタン等）です。
中でも夕暮れどきから花開く「オシロイバナ（別名ユウゲショウ/
夕化粧,ミラビリス）」のほのかな香りは,夏の思い出と重なります。
⑸「夏日」とは最高気温が25度以上の日,
「真夏日」は30度以上の日のことを指していますが、
加えて2007年からは,35度以上の日を「猛暑日」
と呼ぶようになりました。
またこの時期、夜になっても気温が下がらず、寝付けない日が
ありますが、このような一日の最低気温が25度以上の日は
「熱帯夜」と呼ばれ,真夏日や真冬日とともに、
気候の統計値に用いられています。
③[末候]…［第35候］…［8/2頃～6日頃］…
大雨時行（たいう ときに ゆく[ときどき おこなう〈ふる〉]）…
時として大雨が降る（日本・中国）
ジリジリと暑い日、強い日差しが照らす空にモクモクと浮かぶ
夏の象徴とも言える大きな入道雲が空に目立つこの時期は、
夕立や集中(ゲリラ)豪雨,台風等の夏の激しい雨が降る頃です。
雲の頭が坊主頭に見えることから入道雲と呼ばれ、
きれいな青空に湧き上がる入道雲は
一方で夕立を引き起こす積乱雲でもあります。
青空にムクムクと湧き上がる入道雲が突然の雷鳴とともに
激しい夕立に変わり、乾いた大地を潤します。
夕立の後は打ち水をしたように暑さが和らぐので、
悪いことばかりでもありません。
蒸発していく雨の匂いにも夏の風情を感じます。
この時季多い夕立は、低気圧等による長く広く降る雨ではなく、
その場その時限りの局地的な雨です。
「夕立は馬の背を分ける」ということわざは,馬の背の半分は
雨が降っているのにもう半分は濡れてもいないという意味で、
ある場所では夕立が降っているのに、
ごく近い場所では晴れている様子を表します。
昔は夕立や大雨のことを「銀竹（ぎんちく）」「滝落とし」「覆盆の雨」
とも呼んでいたそうです。
「ゲリラ豪雨」も分かりやすくていいですが、
日本らしい表現方法も情緒的で素敵です。
❹時候の挨拶「大暑の候」
「大暑の候」とは、大暑の時期に手紙やメールを送る時に使う
「時候の挨拶」というものです。
(候は時期という意味)
丁寧な手紙やメールを送る時などには、
㊀頭語(拝啓等)㊁時候の挨拶㊂安否の挨拶
の3つの見出し文があって本文に入ります。
「大暑の候」は
・「拝啓、大暑の候、貴社におかれましては、
ますますご繁栄(清栄)のことと心よりお慶び申し上げます。」
・「大暑の候、暑さの厳しい季節ですが,お変わりありませんか。」
と言うように利用されます。
「大暑の候(折)」の代わりに…「大暑のみぎり」「炎暑の候」
「激(劇)暑の候」「厳暑の候」「盛暑の候」「猛暑の候(折)」
「酷暑の候」等という時候の挨拶や
「大暑｣の代わりに…「猛暑」「酷暑」「激暑・劇暑」「酷熱」「炎暑
(えんしょ)」「炎熱」「炎夏(えんか)」「炎日(えんじつ)」「炎節」「極暑(ごくしょ)」
「甚暑(じんしょ)」「盛夏(せいか)」「盛暑(せいしょ)」
という言葉を使って、この時期の季節がらを述べます。
・「蝉の声に暑さを覚える今日この頃」
・「大暑過ぎの猛暑が続いています。」
・「大暑を過ぎ、子供たちも連日真っ黒になって泳いでいます。」
・「拝啓 猛暑の候 いかがお過ごしでしょうか。」
ちなみに暑中見舞いでは、時候の挨拶は利用せず、
「暑中見舞い申し上げます」で始めるものがほとんどです。
このような時候の挨拶は,
春夏秋冬の季節が細やかな日本ならではの礼儀文で,
季節の移ろいと共に変化する四季折々の美しさを繊細な心情
で書き綴りながら,相手の安否を気遣う心配りは、
日本独特の文化と言えます。
❺「大暑」は俳句の季語…大暑の俳句での使い方
・「なかんづく 腎のあやしき 大暑かな」 草間時彦
・「白桃や 大暑の街を 遠くにす」 桜井博道
・「寺の磴 百段にして 大暑かな」 倉田紘文
・「大暑なり 能登黒瓦 かがやけり」 高島筍雄
・「二里の道 地さへ雲さへ 大暑かな」 尾崎紅葉
・「芥川 龍之介仏 大暑かな」 久保田万太郎
・「朝よりの 大暑の箸を そろへおく」 長谷川素逝「素逝句集」
・「あらくさの みな木となる 大暑かな」 高橋睦郎
・「兎も 片耳垂るる 大暑かな」 芥川龍之介「澄江堂句集」
・「しづかさの 背骨にしづむ 大暑かな」 森澄雄
・「身辺に ものの少き 大暑かな」 高野素十
・「水晶の 念珠つめたき 大暑かな」 日野草城「青芝」
・「遠くまで 海揺れてゐる 大暑かな」 飯田龍太
・「鶏鳴の ちりりと遠き 大暑かな」 飯田龍太
・「泥を食ふ 蚯蚓(みみず)口あく 大暑かな」 桑原三郎
・「大暑かな 吉備津に坐る 鬼の釜」 佐藤古城
・「月高く 大暑にくらき 野山かな」 京極杜藻
・「念力の ゆるめば死ぬる 大暑かな」 村上鬼城
・「瓜もみの 加減も馴れて 大暑かな」 中村汀女
・「大暑の忌 忘れず旅を 終りけり」 長谷川かな女
・「まのあたり 牛の貌ある 大暑かな」 ながさく清江
大暑の時期に利用される俳句の季語は他には、
「晩夏」「秋近し」「夜の秋」「土用」「猛暑」「酷暑」「盛夏」
「炎天」等々あり、うだるような暑さを表すものから、
夏の終わりを感じさせるものなどがあります。
秋と言う語が季語に出てくるのは、大暑の次の二十四節気は
暦の上での秋の始まりを意味する立秋であるからです。
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