春の養生法(2/4~5/4)
①立春:2月4日(火)⇒②雨水:2月19日(水)⇒
③啓蟄:3月5日(木)⇒④春分:3月20日(金)⇒
⑤清明:4月4日(土)⇒⑥穀雨:4月19日(日)⇒⑦立夏:5月5日(火)
❶春の人体の生理機能の特徴
[中国医学]では、人体の生理機能と四季の気候変化は
密接に関係していると考えられています。
古い諺にも『一年の計は春にあり』『四季を春のように』とある
ように、新しい命が芽吹き、大自然が古い上着を脱ぎ捨て、
装いを新たにする春に、人々は特別の思いを寄せていました。
春の陽気が盛んになるにつれて、樹木や草の新しい芽が出てきて、私達の身体も冬の寒さから開放されて、体内の新陳代謝が活発になり、エネルギーの消費量も増加します。
季節の変わり目は気候の変動、環境の変化も多いので、
常に体調の変動が起きやすいものですが、
春の中でも、啓蟄の「木の芽(このめ)どき」は、
一年で最も体調を崩しやすい時期かもしれません。
内外で陽気が次第に高まってくると、陰陽のバランスが崩れ、
相対的な陰血不足になりやすい時節です。
①自律神経が失調したり、
[精神的なアンバランス]も生じやすい時期です。
②余った陽気が熱を帯びると、
火と呼ばれる[陽の特性の動]が行き過ぎた興奮状態となって、
体内で燃え上がり、不眠、めまい、のぼせ、だるさ、イライラ感
などを引き起こし、[情緒不安定]になりやすくなります。
⑴臓腑の機能が低下して、
津液(体内の水液)、精、血などの[陰液不足]になると、
内熱と陰虚により陽が亢盛となり、
[ほてり][のぼせ][喉の渇き]などの熱の症状が現れます。
⑵湧き上がる熱により、身体の中が乾燥すると、
「便秘」になり、乾燥は肌バリアを弱め、
舞い上がる風と埃で「肌荒れ」を起こします。
⑶冬の寒い時期に体内に蓄積した老廃物や翼血(おけつ)等が、気温が高くなるとともに体表に出てきやすくなることから、
[花粉症などのアレルギー]なども発生しがちです。
③病気の活動も活発になり、多くの病気の発生が
この時期に集中しています。
④冬の間に貯えたものを使い始めることになり、そこで大量に
必要になってくるのが、ビタミンやミネラルなどの栄養素です。
これが不足していたら、充分に補充する必要があります。
自然の食べ物は、前年の秋に実ったものが多い上に、
春は発芽を迎えるので、どうしても栄養分が低下してしまいますので、
そんなことから[春の倦怠感]が生まれるのかもしれません。
❷この時期に注意したいチェックポイントは?
春の養生の原則は「養陽防風」にあります。
この時期、人体の陽気は、自然の気に応じて
外に向かって発散する傾向がありますので、
陽気を損なう状態を避けることが一番重要で、
[体内の陽気の保持]に努めなければなりません。
①気候の変化に対応する準備しましょう♪
寒い時は身体が縮こまって、気や血液の流れも滞りがちになり、温かい時は気血もスムーズに流れます。
このように気候の変化は気血の運行にも大きく影響を与えています。
春になって気温が上昇してくると、気血の流れも活発になり、
新陳代謝が加速します。
健康な人にとって、この変化は心地良く感じられるでしょうが、
体力のない人やお年寄り、子供にとっては負担になることがあります。
潜伏していた病気が再発したり、慢性病の症状が悪化したりと
いうのも春の大きな特徴なので、早めの準備と対策が必要です。
②寒暖の変化に注意しましょう♪
・春は冬から夏への移行期間で、
冬の寒気と夏の暖気が入り混じって、寒かったり暖かかったり、
晴れたり曇ったりと、気候が不安定な時期です。
・春は日中の気温変化や前日との気温差が
大きくなりがちな時期です。
・春の陽気に誘われ、冬の間は控えていた
冷たい物を食べたり飲んだりする機会も増える時期です。
・冬の間は浴槽に浸かってた人も
ついついシャワーで済ませてしまう事も増えてくる時期です。
・寒の戻りで不調になったりする時期です。
そんな時に真っ先に影響を受けるのが五臓六腑の「脾・胃」です。
「脾・胃」の働きが乱れると、
単に胃腸を始めとする消化器系の不調にとどまらず、
全身に下記のような様々な症状を引き起こします。
うつ感・不眠、肩こり、肌荒れ、胃腸障害、便秘、軟便
免疫力の低下による風邪等への感染、
花粉や寒暖差によるアレルギー、等
「春は余寒を恐れ、春寒に気をつけるべし」
「春が訪れ、気温の上昇と共に、人の身体も「気」の出入りが
盛んになる時期は、余寒や春寒の冷え込みに体を傷めやすい」
と古くから考えて来られました
免疫力を低下させ、体調を崩さない為にも、
季節の変わり目はより注意しましょう♪
生活のリズムを調えるよう注意が必要です。
・過飲過食は避け、腹六~八分目を
・規則正しい生活(早起早起き)
・浴槽に浸かる入浴習慣
を心掛けましょう♪
③『風邪』を防ぎましょう♪
⑴春はよく風が吹きます。これが人体に悪影響を与えると、
『風邪(ふうじゃ)』という春に最も多い病気の原因となり、
様々な伝染性の病気を引き起こします。
『風邪』が体内に入り込んで重大な病気を引き起こさないように
予防することが春の最重要課題です。
☆⑵身体を温めましょう♪
㈠まだ少し寒さの残る時期なので、
体内の「陽」の気を増やす(=温補の)食材を食べ、
寒を防ぎ、助陽し、病原菌を抑制しましょう♪
「ニラ」「ニンニク」「赤唐辛子」「玉葱」「生姜」「香菜」「葱(ネギ)」
「からし菜」「ホウレン草」などの[辛温の野菜]や「甘酒」
などによりするのがお奨めです。
また、気温が上がると、菌も活動を始め、
細菌感染による病気が増える季節でもありますので、
これを防ぐには、なんといっても、殺菌効果のとても高い
【ニンニク】がお奨めです。
生で食べたり、たくさん食べ過ぎると、胃に負担がかかりますので、
適量を毎日食べましょう♪
いろいろな細菌の体内侵入を防ぐため、
お刺身の好きな人もこの時期は控え目にしましょう♪
㈡初期の風邪には…身体を温める食材と共に、
生ハム、絹揚げ、バターピーナッツ、蕗の薹・ウド、
グリーンアスパラ、リンゴなどを摂りましょう♪
㈢すぐに薄着にならないようにしましょう♪
・啓蟄の頃は昼と夜のの寒暖差が大きいため、
風邪をひきやすくなります。
・風邪は寒い時よりも、むしろ暖かくなり、汗をかいて服を脱ぎ、
身体が急に冷えた時にかかりやすいので注意しましょう♪
・上半身は薄着でも下半身を冷やさないようにすることも大切です。
㈣特に虚弱体質の人は、背筋の保温を心掛けるようにしましょう。
㈤無防備に風にあたらないようにしましょう♪
㈥帰宅後には冷えた身体をゆっくりとストレッチしたり、
ぬるめのお湯に長めに入って十分に温めましょう♪
④春はゆっくり迎えましょう♪
寒い冬の間、私達は様々な防寒措置を講じて、保温に努めて
きましたので、人体自身の耐寒能力は低下しています。
春、花が咲いて、温かくなったからといって、急に薄着になると、
寒の戻りがあった時、血管は収縮して、血行が阻害されて、
体内の機能に悪影響を及ぼして、
様々な病気の原因となってしまいます。
着るものを少しずつ減らしていって、
ゆっくり春を迎えるようにしましょう♪
⑤肝臓を落ち着かせましょう♪
⑴中国医学の五行理論では、
春は植物の成長していく様を五行の「木」であらわしていて、
五臓六腑では「肝臓」「胆のう」に相応しています。
⑵「肝臓」は自律神経や情緒などと深く関わりがあり、
血を貯蔵する場所でもあります。
⑶冬の間縮こまっていた身体は、春になると、自然界の陽気と
共に、気が身体の外に向かい始め、体内の陽気も昇発し始め、「肝臓」の働きが盛んになっていきます。
・春は肝臓に影響するので、
しっかり養生しないと肝臓を傷めます。
・血液検査で肝臓の数値が悪い人(=肝臓が疲れている人)は、
春の過ごし方が大切です。
・肝臓の気が盛んになりすぎると、高血圧、眩暈(めまい)、肝炎
などになりやすくなります。
・現代流行病学の調査によれば、
春は肝臓病の発生率が高い季節なので、肝臓を養い、保護
して、春の伝染病の流行を防ぐことが重要だといわれています。
・肝臓の気は精神状態にも大きな影響を与えますので、
精神分裂症や躁鬱病などの人は、天気の変化によって
症状が悪化したり、発作を起こしたりということがあります。
⑷薬膳では「肝」は「酸味」を好むので、
「酢」「柑橘類」「スモモ」「梅」などがお奨めです。
⑸[疏肝・平肝の働き]のある…カジキ、パプリカ・芹(セリ)、
赤ワイン、はまなす茶、フェンネルなどを摂りましょう♪
⑹肝臓の気を落ち着かせて精神の安定を図るようにしましょう♪
⑺遅くとも23時前には寝床に着きましょう♪
[23時~3時の時間帯]は
肝胆の臓腑の機能が最も旺盛になる時期なので、
この時間帯に横臥することにより、肝への血液の戻りを高め、
肝の解毒作用を経て、
また新たに全身に新しい血液を送り出すことができます。
夜遅くまでの読書やTVやPC、スマホ、タブレットなどを見続けて、眼を酷使することは、さらに肝臓を痛めることになります。
⑥腎臓、脾臓、肝臓の働きをスムーズにして、
身体を元気にしましょう♪
⑴春の飲食は「春と夏は陽を補う」ことを原則として、
陽の気を補うものを多く食べるのが適切ですが、節季の変化に
合わせ、各人の体質の状況も考えることも必要です。
⑵春になり、肝機能が高くなりすぎると、却って、後々の
健康状態の元になる脾臓や胃に悪影響を与えるので、
肝気を旺盛にする酸のものを控え、甘みを多めにしましょう♪
⑶薬膳では、「春先は酸っぱいものを少なく、
甘みを多めにすると良い」と言われています。
・適量の酸味は肝気を養いますが、
摂りすぎは消化器(脾臓や胃)を傷めます。
甘味は脾の気を養いますので、
消化器に有益で、肝の気を助けます。
㈠「ナツメ」「おこげ」「山芋」「ニラ」「ホウレン草」「ナズナ」
「鶏肉」「鶏肝」などの甘いのものを多めに食べましょう♪
・脾臓や胃を丈夫にするには…「山芋」「蓮の実」「白キクラゲ」
を使った料理を食べましょう♪
○[イチゴの効能]…春の身体を助けてくれ、
胃の働きを高めて消化を促す作用があり、
おなかの張り、便秘、慢性の下痢を緩和します。
新陳代謝を上げてくれるので、朝にいただくのがお奨めです♪
㈡植物性蛋白質やビタミンを多く含む野菜や野草を
たくさん食べましょう♪
特に毎日の食卓に取り入れたいのは、葱(ネギ)、パセリ、
味噌や納豆などの大豆発酵食品、干しナツメなどです。
○[葱(ネギ)の効能]
・焼いても、鍋にしても、身体を温め、気管支にも良い食材
なので、風邪に効果的です。
・[初期のウツの改善]に非常に効果があります。
・[酸性]なので、[ストレッチ改善]にも役立ち、
気血の流れを良くする]ので、[冷え改善]に効果があります。
・[解毒作用]もあるので、下痢にも良いでしょう.
㈢ミカン、レモン、トマトなどの[酸味]のものを食べるのは
少な目にしましょう♪
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